銀行のデジタル変革:アプローチとメカニズム【抄訳版】
Abstract
(このレポートは2015年8月に"The Acutely Digital Bank: Mechanisms for a New Reality" というタイトルで英文で発表しましたが、抄訳版を2015年9月29日に発行しました。)
金融サービスの「ニューノーマル」では、デジタルとは何かを幅広く理解することが求められます。環境の変化速度は弱まることなく、従来のビジネスモデルでは対処できない状況が増えています。デジタル化を効果的に進めるために不可欠な要素は、デジタルを使いこなすための意識的な組織変革です。大部分の銀行はデジタルをめぐる課題に対応可能な組織への変革に着手していますが、動きは全体として緩慢です。金融機関はそのペースに合わせる必要があるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | デジタル化に向け、なぜ銀行の組織改編が必要なのか? |
2 |
デジタル化を進めるため金融機関が現在取り組んでいることは? |
3 | デジタル化プロジェクトを組織するため、銀行はどのようなアプローチをとるべきか? |
デジタル化は決して簡単な課題ではありません。金融機関によってはカルチャーやビジネスモデルの変革を迫られますが、これは困難な作業であり、常にことなかれ主義との戦いです。業務をデジタル化の方向に導くことのできない銀行は、より機敏で、デジタルに精通した競合相手(他の銀行や銀行以外の挑戦者)に取って代わられる恐れがあります。
本レポートは、実際に金融機関が採用している様々なメカニズムの例を紹介し、デジタル化を促すビジネスモデルを提案します。
「銀行が成果を上げるためには、明確な目標設定が欠かせません。ある1つの方法が全ての銀行に有効に機能するとは限りません。いまや業界全体を見ればデジタルは不可欠な要素ですが、多くの銀行は、根本からのデジタル変革にはなお抵抗があり、意思決定の判断を遅らせる要因となっています」とセレント銀行プラクティスのアナリストでレポートを執筆したスティーブン・グリーアは述べています。
レポートでは、バンキングのデジタル化という目標を達成するためのメカニズムについて説明しています。また、デジタル化の成熟に向けた一般的なモデルから、デジタル変革の道筋を示しています。