保険会社にとって有効な ソリューション:BPMとBRE
Abstract
(このレポートは2003年12月8日に"Insurance Business Value from Business Process Management & Business Rules Engines"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2004年9月9日に発行しました。)
ビジネスプロセスマネジメント(BPM)とビジネスルールエンジン (BRE)という関連性の高い2つのテクノロジーが、保険会社向けソリューションとして注目を集めています。保険会社がこれらのテクノロジーを活用するためには、業界の常識を超えたビジネス本位の視点でこれらの有効な導入方法を決めることが求められます。
保険事業はプロセスとルールによって成り立つ事業といえます。保険会社は価格設定、引き受け、支払額の決定といった一連の業務で常に一貫性を維持する必要があります。競争に勝つためには他社に勝る決断力を備えているかどうかが決め手となります。それでは、ビジネスプロセスマネジメント (BPM)とビジネスルールエンジン(BRE)の導入によって、保険会社の競争力を向上させることは可能なのでしょうか。
「BPMおよびBREという2つのソリューションの導入は、保険会社のあらゆる中核業務に大きな影響を与え得るでしょう。最大の難関は、最初にソリューションの導入対象を絞り込み、導入の優先順序を決める作業であるのかもしれません。BPMは高コストあるいは細分化されたプロセスに有効であり、BREは財務上の影響が大きい、または複雑な決定が求められるプロセスに有効であるといえます。」 このレポートを執筆したセレントのアナリストドナルド・ライトはこのようにコメントしています。
さらに、「2つのソリューションはROIの向上にも大いに貢献すると期待されます。しかし、最大の効果は、反復(継続的な改善)と拡散(新たなプロセスや事業部門への導入)を機能させることによって好循環が生まれることでしょう」とライトは述べています。
セレントは、完全なBPMソリューションとは人間とアプリケーションの間に発生するワークフローの設計、統合、実行、モニタリング、最適化をすべて実現するものでなくてはならないと考えています。このようなソリューションは下図に示した6つの要素から構成されます。
同様に、BREソリューションは、プロセスの設計、統合、自動実行、決定の最適化を実現することで完成されると考えられます。
セレントの予測では、2004年には米保険業界の新規プロジェクトに対するIT投資額は72億ドルに達するとみられますが、このうち10%弱に当たる7億ドルはBPMおよびBRE関連プロジェクトに投資されるでしょう。予想投資総額の内訳は、ソフトウェアおよびコンサルタント(約44%)、社内スタッフ(37%)、ハードウェア(13%)、ネットワークの接続・回線の帯域その他(6%)となっています。BPMおよびBRE関連新規プロジェクトが最も集中するとみられるのは中核業務(引き受け、保険契約の管理、支払い請求処理)で、次に多いのは販売関連業務であると思われます。BPMおよびBREソリューションは主にホリゾンタル、統合パッケージ、バーティカルの各分野に対応しています。
本レポートの結論では、保険会社向けにBPMおよびBREベンダーの選別方法、銀行・証券会社・投資会社向けにBPMおよびBREソリューションの利用方法を紹介し、さらにベンダー側の商品戦略についてもまとめています。
同レポートは12の図表を含む32ページから構成されています。