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巨大市場へと成長するCO2排出権取引

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2009/05/11

Abstract


二酸化炭素の排出権取引は飛躍的なペースで成長を続けており、取引量は2005年の8億トンから2008年には42億トンに拡大しました。市場の中心は欧州ですが、米国、オーストラリア、日本およびその他の国々も排出量削減策の取りまとめを進めており、今後も取引量は急速に拡大する見通しです。

セレントの最新レポート「巨大市場へと成長するCO2排出権取引」は、CO2排出権取引市場の概要を明らかにしています。具体的には排出権取引の主な市場および取引所、取引のメカニズム、取引パターン、利用されているテクノロジーおよびプラットフォーム、決済のしくみ、市場参加者、取引されている商品などに焦点を当て、現在の市場動向を分析しています。

排出権取引市場の成長は投資家、ブローカー、取引所を含め、ほぼ全ての市場参加者の注目を集めてきました。EUは二酸化炭素排出権の制限を義務づける政策を世界で初めて打ち出し、それがEU圏内における排出権取引の発展を促しました。2008年現在で、市場全体の取引量の98%を欧州の4大排出権取引所である欧州気候取引所(EXC)、ブルーネクスト、ノードプールおよび欧州エネルギー取引所(EEX)が占めています。欧州以外の主要取引所としてシカゴ気候取引所(CCX)とグリーンエクスチェンジが挙げられますが、これらの取引量はなお低水準にとどまっています。

先進国の多くは、排出権の問題に対処するために何らかの市場メカニズムを導入する姿勢をみせています。多くの国は、EUの域内排出権取引制度(EU-ETS)をひな型にした独自の取引制度の策定を検討しています。ニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)、モントリオール気候取引所(MCeX)、インターコンチネンタル取引所(ICE)、東京証券取引所、アジア炭素取引所(ACX)、香港証券取引所など世界の他の地域の取引所は、将来性を見込んだインフラ構築に着手しています。

「排出権取引市場の基盤はまだ構築されたばかりで、将来に向けて持続的な成長が見込まれます。オバマ大統領が排出量削減策の策定に向けて積極的なイニシアチブをとりはじめ、日本、オーストラリアやその他の国々も政策の取りまとめを進めており、取引量は近い将来に急拡大するでしょう」とセレントのアナリストでレポートの共同執筆者であるランジット・ベヘラは述べています。

出典:セレント

「既存の取引所は株式、債券、商品取引における豊富な経験を排出権取引にも生かせるという強みがあります。NYMEX、ICE、香港証券取引所、東証、オーストラリア証券取引所(ASX)といった有力取引所は既に排出権取引の暫定的なインフラを構築済みであり、他の取引所もすぐにこれに追随するとみられます」とセレントのシニアバイスプレジデントでレポート共同執筆者のアクセル・ピエロンは指摘しています。

本レポートは排出権市場で取引されている商品の種類を明らかにし、様々な取引モデル(取引所取引やオフライン取引など)を詳しく分析しています。また、排出権取引を手がける世界の新興市場や取引所についても簡単に紹介しています。

本レポートは29図と8表を含む全47ページで構成されています。