日本における決済インフラの動向 パート1:全銀モアタイムとEDIシステムの稼働【日本語】
2019/08/14
Key research questions
- 決済インフラを巡る情勢の変化と日本の対応は?
- 全銀システムの歩みはどのようであったか?
- 全銀システムは、どのような変化を要求され、どのように取り組んだか?
Abstract
本「決済インフラ」シリーズのPart 1では、全銀システムの拡張(「モアタイムシステム」による稼働時間の延長、「ゼディ」の稼働による金融EDIサービスの提供)を通じて、主にリテール決済インフラの進展を考察します。Part 2では、考察の対象を「日銀ネット」に移し、主にホールセール決済インフラの進展を考察します。
2015年金融審議会における大方針(ワーキンググループ報告書)に従い、日本の決済インフラは着実な前進を遂げています。Part 1で考察する全銀システムの拡張は、そのリテール分野における、金融・IT融合に対応した新決済サービスの基盤拡充とみなされます。Part 2では、日銀ネットの有効利用を巡る議論を通じて企業の成長を支える決済サービスの高度化について考察します。
全銀協と全銀ネットは、銀行振込のサービス提供時間を拡大するため、銀行振込の中核である全銀システムの稼働時間延長を可能とする「新プラットフォーム(モアタイムシステム)」を構築、2018年10月に稼働させました。これにより、既存の本体システムとモアタイムシステムそれぞれが対応する時間帯のトータルで24時間365日、他行宛振込のリアルタイム着金が可能となりました。また、2018年12月、「全銀EDIシステム(愛称「ゼディ」)」が稼働しました。このシステムは、企業間送金に係る電文を金融取引における国際標準であるXML 電文に移行し、国内送金電文に商流情報の添付を可能とした金融EDIのプラットフォームです。稼働時間の延長とEDI基盤の実現により、日本の決済インフラは新次元へと進化しました。