最先端のモバイルバンキング:モバイル中心の銀行(じぶん銀行)のケーススタディ
Abstract
(このレポートは2010年8月12日に"Advanced Mobile Banking Defined: A Mobile-Centric Financial Institution (Jibun Bank) Case Study"というタイトルで英文で発表しましたが、日本語版を2011年1月25日に発行しました。)
北米やEU諸国では、ここ3年でモバイルバンキングが飛躍的な進化を遂げています。今や最大手の銀行から中小の信用組合に至るまでモバイルバンキングを提供しており、2007年に最先端と思われていた機能が一般に普及しています。銀行やテクノロジーベンダーは毎週のように、最先端のサービス投入を競うように発表しています。
こうした競争が繰り広げられる中、「2010年における『最先端』のモバイルバンキングの真の定義とはなにか」という疑問が提起されています。セレントは最新レポート「最先端のモバイルバンキング:モバイル中心の銀行(じぶん銀行)のケーススタディ」で、この疑問に答えています。
北米・EU諸国では、フロントエンドの顧客向け最先端機能としてモバイル機器からの預け入れ、個人間決済、リアルタイムのトランザクションアラートといったサービスが提供されています。モバイル決済も始まっていますが、現時点では試験的な運用に限られており、本格的な商用化までにはなお時間がかかるでしょう。
バックエンドに関しては、複数のコアシステムと補助システムに接続可能なモバイルソリューションが現時点での最先端とされています。これにより、顧客は保有する全ての口座(当座預金、普通預金、借入口座、住宅ローン口座、クレジットカード口座など)の一覧が可能になります。ただし、現時点の「最先端」のバックエンドシステムに関する問題は、顧客からのアクセスを待つ(残高照会)、他のチャネル(オンラインバンキング、ATMなど)と同じ情報データを提示する、など受動的なものにとどまっています。
「最先端のモバイルバンキングの好例がみられるのは、モバイルサービスで常に最先端を走ってきた日本の市場といえるでしょう」とセレント銀行グルプのシニアアナリストでレポートを執筆したレッド・ギレン は述べています。
出典:セレント
大手銀行と大手携帯電話会社がモバイル中心の銀行として設立したじぶん銀行はその好例です。同行は、北米や欧州の銀行が羨むような最先端のフロントエンド機能を数多く提供しています。しかし、その中でも、収益に直接影響を与える新商品(口座開設など)を全てモバイルチャネルを通じて提供している点は特に注目に値します。同行は、オラクルのバンキングプラットフォーム「FLEXCUBE」を導入しているほか、複数のビジネスパートナーと提携することでこうしたサービスの提供を実現しています。
本レポートはじぶん銀行のケーススタディを紹介し、同行の最先端のフロントエンド機能とバックエンドシステムの統合について概説します。また、じぶん銀行の設立に関わった関係者へのインタビューをもとに、背景にあるビジネス事情と設立の経緯についても触れています。
本レポートは15図と3表を含む40ページで構成されています。