「新」銀行口座の誕生?:銀行口座の存在価値を探求する【全訳版】
2013/09/12
The Quest for Transactional Account Primacy
Abstract
(このレポートは2013年9月13日に” The Rise of the New Bank Account?:The Quest for Transactional Account Primacy" というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2014年2月5日に発行しました。)
銀行口座は長い間、銀行が顧客との関係を構築する際の基盤となってきました。こうした口座がデジタル時代にあってもその存在価値を維持するためには、進化が不可欠だとセレントは考えます。
これまで銀行は、支払いカードとその決済口座を組み合わせることにより、決済サービスのプロバイダーとして圧倒的な優位を築いてきました。ところが、「規制」と「競争」という2つの要因が、カードと決済サービスプロバイダーとしての銀行の地位を脅かしつつあります。
セレントの最新レポート「『新』銀行口座の誕生?:銀行口座の存在価値を探求する」は、銀行のカード事業が直面している脅威、またコアとなる決済口座を脅かす新たな課題を明らかにし、銀行がどのように対応してきたかを検証しています。
以上の考察から「近い将来、『新』銀行口座は以下の機能が必要となるのではないか?」という疑問を提示しています。
- 様々なトークンへの対応:バーチャル通貨、マイル、ロイヤルティーポイントなどが含めた、金銭的/非金銭的価値の両方の信頼に足る預け先となる機能
- 総合取引機能:口座に預けている金銭またはその他のトークンを直接銀行口座から支払うことができる機能
- 状況連動型サービス: いつでもどこでも、プッシュ/プル型配信のモバイル機器を使って、個人のニーズと状況に応じて高度にカスタマイズされたサービス(情報、アドバイス、取引オファーなど)を提供する機能
「銀行がこうした新たな機能を構築するためには、あらかじめ多くの課題について検討する必要があります。例えば、新たな価値と従来の価値をどう共存させるか、モバイル決済の拡大による細分化や国内決済の再興にはどのように対処するか、などです。とはいえ、銀行がコアとなる口座を進化させなければ、デジタル時代にその存在価値を維持することはできないでしょう」とセレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジルビナ・バレイシスは述べています。