中国のクラウドベースバンキング:イノベーションへのテクノロジーフレームワーク
2017/01/28
フア・ジャン
2020年までに、中国の銀行が採用するシステムの60%はクラウドベースになるでしょう。
Key research questions
- なぜ中国は2020年までに銀行システムの60%をクラウドベースにすることを目指しているのか?
- クラウドコンピューティングは銀行の電子チャネルにどのような変化をもたらすか?
- 銀行業界におけるクラウドコンピューティングの利用をめぐるトレンドは?
Abstract
クラウドコンピューティング・テクノロジーはビジネスモデルの再構築を促すでしょう。銀行業界はさらなる開放を迫られ、ソーシャルデータに基づいて価格設定とリスク管理を行う一方で、銀行は金融以外の多くのサービスを提供できるようになるでしょう。
本レポートは、中国におけるクラウドベース・バンキングのアーキテクチャ、ビジネスモデル、販売チャネル、勘定系システムについて明らかにしています。特に大きな変化として、シナリオベースの販売チャネルとデータベースの勘定系システムが挙げられます。銀行の販売チャネルはもはやモバイルバンキングやインターネットバンキングが中心ではなく、顧客サービスの一部に完全に組み込まれていくでしょう。マシンラーニングを使って顧客のセグメント化とマーケティングを行うなど、銀行商品のマーケティングやデザインにおいて、データはますます重要になるでしょう。
「クラウドベースの銀行システムは、単にシステムをクラウドに移行することを意味するのではありません。むしろクラウドの特徴をフル活用して、従来は対応できなかったビジネスモデルを開発する動きが広がるでしょう。その結果、銀行はコスト低減するだけでなく、不良債権比率の低下、業務効率性の向上といったメリットを得られるでしょう」とアジア金融サービスプラクティスのアナリスト、フア・ジャンは述べています。