トレジャリーインサイトを引き出す:インテリジェント・ソリューションへのロードマップ
Abstract
インフレ率の上昇、借入コストの増加、為替相場のボラティリティの高まりで経済的ストレスにさらされる状況下において、財務担当者にとって流動性を管理するツールが何よりも重要となっている。こうした中、トランザクションデータとレポーティングのルネサンスを通じて、銀行は法人顧客との関係をどのように深めることができるか?
セレントの調査は、ここ数年のある傾向を裏付けている。それは、規模にかかわらずあらゆる企業の財務担当者にとって、キャッシュの可視性の向上とキャッシュ予測が最優先事項であり続けているということである。それどころか、現在の市場の状況から、その重要性はさらに増している。
こうした状況を受け、いくつかの銀行は、法人顧客が将来の口座残高をより正確に予測できるように、AI(人工知能)やML(機械学習)を用いたキャッシュフロー予測ソリューションを導入している。しかし問題は、銀行はよりインテリジェントな財務ソリューションを構築する手段として予測ソリューションの導入を進めているのか、それとも予測ソリューションの導入自体が目的なのかということである。セレントは、AIやインタラクティブなユーザーエクスペリエンスと同様に、トランザクションデータもまだ十分に活用されていない資産であると考えている。
トレジャリー・クライアントにとっての情報レポーティングとその関連データの価値は疑いの余地はないが、銀行からはトランザクション・バンキング商品の中で最も地味な存在と見られがちである。しかし、銀行が管理する情報レポーティングデータは、コーポレートバンキングの顧客にとってその価値が一変するルネサンスを起こすだろう。これは、単にレポーティング機能を微調整するだけでなく、IRの基本的な構成要素が、財務アドバイザーとしての関係の構築を可能にする「インテリジェント・ソリューション」の主要な構成要素であることを認識することによって実現する。
これらのインテリジェント・ソリューションは、新世代のクライアントアプリケーションとエクスペリエンスであり、高度なデータ機能とデータサイエンスの推進力が、アプリケーション・ロードマップと産業グレードのソフトウェアエンジニアリングに収束している。これらのアプリケーションは、規模に応じて確実に動作する必要があり、情報、インサイト、予測分析に基づくインテリジェントなトレジャリー商品/ サービスの提供に向けて次のステップとなる。
銀行は、現在の情報レポーティングと照合ソリューションの枠を超えて考えるべきであり、さまざまなソリューション、インサイト、エクスペリエンスによってバンキング業務を商業化するうえで必要な原材料としてトランザクションデータを捉える必要がある。
本レポートは全2回シリーズの第1弾である。