米国における相次ぐ規制強化と銀行の対応
Abstract
米政府は金融業界に対する新たな規制の導入を決め、今後もさらに規制を強化する構えをみせています。そうした動きは、リテール業務を行う金融機関にどのような影響を及ぼすのでしょうか。セレントは、レギュレーションEの導入により、当座預金関連の収入は15%減少する可能性があるとみています。それに対して、銀行はそのような対策を講じるべきでしょうか。
セレントの最新レポート「米国における相次ぐ規制強化と銀行の対応」は、金融危機を受けて政府は金融機関に対する規制を強めていますが、今後もその傾向は続くとみられます。本レポートでは、レギュレーションDDおよびレギュレーションEの改正点を検証し、それがリテール銀行の業務にどのような影響を及ぼすかを考察しています。
レギュレーションDDは顧客とのコミュニケーションに影響を及ぼすのに対し、レギュレーションEの改正はリテール銀行の収益を大きく左右し、しかも収益の減少につながるとみられています。レポートではどのような点が改正されるのか、新規制に準拠するために金融機関は何をすべきか、さらに重要な点として、金融機関はいかに先手を打って新たな規制環境に対応すべきかを論じています。
銀行のとりうる選択肢として、以下のようなものが考えられます。
- 様子見:自らは何も行動を起こさず、他行の出方を見守る 。
- 手数料の引き上げ:小切手処理を全て有料化する 。
- 必要最小限の機能に絞った無料口座を設け、それ以外の口座に追加料金を課す。
- 顧客が積極的に利用するような有料のバンドルサービスを開発する。
- 迅速なビルペイメント、貸金庫、ID盗難防止、一時的なオプトインなどの付加価値サービスを提供する。
- ITおよびオペレーション部門の経費を削減する。支店網を削減する。
- リレーションシップ・プライシングを導入し、取り分を増やす。
- 顧客の選別を行う。顧客収益性を把握し、収益性の低い顧客を手放す。
「銀行は長年にわたり、当座預金残高が少額で、借越しになりがちな顧客から徴収したNFS手数料(残高不足による自動引き落とし不能に伴う手数料)で無料小切手サービスのコストを補ってきました。新規制の導入によってNSF手数料が減少すれば、こうしたコストに充てる資金が不足するため、銀行は対応を迫られるでしょう」と、セレント銀行グループのシニアバイスプレジデントでレポートを執筆したバート・ナーターは述べています。
本レポートは7図と2表を含む30ページで構成されています。