2016年 損害保険ポータルソリューションベンダー動向:北米編
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | ポータルとは何か? |
2 |
保険会社がソリューションを評価する際にはどのような特性・機能に注目すべきか? |
3 | ポータルの新規導入を検討している保険会社はどのソリューションについて評価すべきか? |
今回の調査では、70%を超える保険会社が既存ポータルの置換または大幅な強化に取り組み中と回答しました。ユーザーインターフェースを効率化してデータを取り込み、データ入力の労を軽減し、エージェントのビジネスを簡素化するためです。
エージェント向けポータルは、比較的成熟したテクノロジーです。エージェントは仕事のしやすい保険会社を提携先に選ぶことから、保険会社はエージェント向けに何らかのポータル機能を提供しており、優れたポータルを備えることがエージェントの拡大および維持につながると認識しています。多くの保険会社はベンダーソリューションを採用するのではなく、最新の標準的な全社ベースのシステム上に自社開発のエージェント向けポータルを構築しています。しかし、こうした傾向も変化しつつあります。
初期のエージェント向けポータルは、エージェントにとってゲートウェイのような役割を担っていました。エージェントはポータルにアクセスし、そこからバックエンドシステムに接続して取引を処理していました。そのため、エージェントが作業を行うアプリケーションごとにユーザーインターフェースが異なり、バックオフィスシステムへのアクセスに限られていました。今日では、保険会社はポータルを取引ポイントとして利用するようになっているため、エージェントはポータル上で直接取引を行うことが可能になっています。
保険会社はポータル利用のメリットとして、エージェントに合わせてユーザーインターフェースをカスタマイズ化し、それを全てのアプリケーションで共有できることを挙げています。また、保険契約管理システムに比べるとポータルの方が速く変更ができることも利点であるとしています。複数の保険契約管理システムを稼働させている保険会社にとっては、独立型ポータルも有効です。保険会社はバックシステムで既存の保険契約管理システムを稼働しながら、各エージェント向けにカスタマイズしたユーザーインターフェースを提供すればよいからです。
「保険会社が新規ポータルの導入または既存ポータルの強化を成功させるためには、過去の教訓やベストプラクティスが参考になるでしょう。まず、エージェントが利用しやすい設計にするため、設計段階でエージェントを関与させます。稼働時期を慎重に計画し、様々な人の意見を聞くことも重要です。日常的にシステムを利用する人と経営幹部では全くニーズが異なるからです。フィードバックのしくみを策定し、導入前にエージェントからのフィードバックを追跡・管理するプロセスを定めます。フィードバックのしくみがしっかりと設けられなければ、不正確な情報の拡散、不適切なエスカレーション、組織のねじれを招きかねません」
「ポータルシステムへの投資額は、ベンダー全体で高水準を維持しています。ソリューションの機能は増え、設定ツールは改善され、SOAやウェブサービスとの接続が事実上標準化されるなど接続性も向上しています。こうした動きはいずれも保険会社にとってはプラス材料ですが、ベンダーが直面する競争上の課題はますます難しくなっています」と保険プラクティスのリサーチ・ディレクターであるカーリン・カーナハンは述べています。