キャピタルマーケッツの持続可能性
ESGのテクノロジーとデータエコシステム
Abstract
セレントは、ESGにおける主要なトレンド、データソース、指標、パートナーシップについて調査している。さらに、近年、社会的責任投資(SRI)が資本市場、資産および資産管理に及ぼす影響と、その大きな牽引力に注目している。主要な推進力となっているのは、世界的な持続可能性の課題に対する認識の高まり、SRIを不可欠な対策として特定した規制および開発アジェンダ、投資家からの需要の高まり(特に環境や社会的意識に沿って投資する傾向が強いミレニアル世代からの需要)、および環境、社会、ガバナンス(ESG)要因が財務収益を高める可能性があるとする見解などである。これにより、ESG洗練度は様々だが、幅広い責任ある持続可能なインパクト投資戦略がもたらされ、世界における投資総額は30兆ドルに達している。
こうしたESGへの関心の高さは、富裕層向けを含む資産運用会社に明らかなメリットをもたらすだけでなく、投資銀行や以下の業務を行う他の資本市場参加者にも様々なビジネスチャンスを提供している。
- アドバイザリー業務:ESGと企業戦略の統合、合併・買収(M&A)におけるESGデュー・ディリジェンスなど。
- ファイナンス業務:グリーンボンド、トランジションボンド、サステナブルボンドおよびソーシャルボンドの引受、サステナビリティリンク信用枠、プロジェクトファイナンスなど。
- トレーディングおよびヘッジ業務:炭素排出枠とカーボンオフセットの取引、コーポレートデリバティブなどのヘッジ手段による移行リスクと物理的リスクの軽減など。
現在、ESG市場には多数のデータおよび分析プロバイダーが存在している。本レポートで考察した主要なサードパーティデータ/ 分析ベンダーは以下の通り。Refinitiv、Bloomberg、Beyond Ratings(LSEG)、Factset、MSCI(Carbon Delta)、Morningstar(Sustainalytics)、Moody's(Vigeo Eris、Four Twenty Seven、Syntao Green)、S&P Global(Trucost、RobecoSAM)、ISS ESG、RepRisk、CDP、2 Degrees Investing Initiative
資本市場参加者は、ESGデータと分析に関して複数のプロバイダーを頻繁に利用している。市場が進化を続ける中、買収やパートナーシップによる統合が続くとセレントは見ている。さらに、従来のデータ(すなわち、企業の開示情報)を補完または検証するために代替データソースへの依存度が高まり、将来を見据えたデータセットと指標が開発されると予想している。
(詳しい情報は、セレント北川俊来TKitagawa@celent.comまでお問合せください)