2016年 ストレステスト・ソリューション パート1:アーキテクチャの選択
Abstract
本レポートでは、全社規模で実施するストレステストの将来の持続可能な機能に対応できるアーキテクチャ基盤、運用モデルおよび市場ソリューションについて分析しています。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 今年以降、ストレステストの実務・運用の見通しは? |
2 |
銀行のストレステストの将来の持続可能な状態を構成するのはどのようなアーキテクチャと運用モデルか? |
3 | 現世代のストレステストのベンダー、ソリューションおよびプラットフォームの差別化要因は何か? |
欧州、米国、英国などでは、数年前から法令で定められたストレステストが実施されてきましたが、それには大きな負担が伴っています。銀行は年1回のテスト結果報告を期日内に済ませられるよう作業の迅速化を図り、前進していますが、同時に痛みとコストを強いられています。本レポートは今後数年で進化を遂げるとみられるストレステストの運用モデルとソリューションの将来について考察しています。
金融機関の取り組みは進歩しているにもかかわらず、世界的にストレステストを強化する傾向が続いており、「テスト」の内容は年々難しさを増すでしょう。規制当局はそのプロセスとサブコンポーネントに関する期待を段階的に引き上げ続けています。基本的な趣旨は、「ストレステスト装置」の中身を調べ、その基盤が健全であるかどうかを確認することにあります。
これまでの業界の動きをみると、他に先駆けて全社規模のストレステストを実施している金融機関は変革を繰り返していることがわかります。具体的には、当局への報告要件の達成に向けた業務およびIT部門の改革、ストレステスト手続きの合理化、予算策定・計画手続きに及ぼす影響を把握することなどが挙げられます。
「金融機関は既に決定した選択肢、あるいは検討中の選択肢を過去の意志決定に照らしてもう一度見直す必要があるでしょう。より統合性の高いアーキテクチャによって実現可能となる、より持続可能な運用モデルの要件を満たすためには、変更する必要も出てくるとみられます」と、セレント証券プラクティスのリサーチディレクターでレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。
金融機関がストレステストを通常業務として標準化する際には、将来的に付加価値機能を備えることを前提にしたアーキテクチャ基盤を構築する必要があります。長期的には、手続きとインフラの構築と強化を進める過程で、銀行は「リスクおよびストレステストに関する我々のインフラは単にコンプライアンス要件を満たしているだけだろうか。予算策定、計画、バランスシートの最適化をダイナミックに行うためにはインフラの強化は必要か?」と自問すべきでしょう。ITおよび業務部門をカバーする全社規模のアーキテクチャ基盤を構築できなければ、後者の実現が難しくなるでしょう。
本レポートは、持続可能性、一貫性および再現性を備えたストレステスト機能を実現するために必要な最新アーキテクチャ、運用モデルおよびソリューションに焦点を当てたシリーズの第1弾です。第2弾のレポートでは、セレントの「ABCDベンダービュー」を使ってベンダーを評価します。
本レポートは26p、12図と1表で構成されています。