独立系登録投資顧問業者(RIA)が大躍進へ
Abstract
セレントの予測では、独立系RIAの運用資産は2007年まで年間平均10%のペースで拡大するとみられます。
米国の個人向け投資顧問業界では、独立系の登録投資顧問業者(RIA)は長い間その存在感は希薄でした。しかし、ここ数年は急速に衆目を集めて来ており、カストディアンの間でも顧客としての関心が高まって来ました。独立系RIAに投資顧問サービスを求める個人富裕層の需要が急増してきたことを考えると、こうした展開は決して不思議ではありません。米国の個人向け投資顧問市場における独立系RIAの市場シェアは2001年の7%から2003年には9%まで上昇しました。2007年には14%まで伸びるとセレントは予測しています。セレントの最新レポート「独立系登録投資顧問業者(RIA)が大躍進へ」は、個人向け投資顧問市場におけるRIA業界の成長の牽引要因および阻害要因について検証しています。
RIA業界の成長には複数の要因がありました。市況の下降局面では、あらゆる投資家が大きな金銭的損失を被り、同時に投資アドバイザーに対する信頼も失いました。「この結果、深刻な打撃を受けた投資家の多くは、単なる専門家だけでなく独立業者にも投資アドバイスを求めるようになりました。とりわけ保有金融資産が百万ドルを超える富裕層は、大手金融機関系の投資アドバイザーから独立した視野に基づくアドバイスを得ることは期待しにくいと考えています」とセレントの証券・投資グループのアナリストで上記レポートを執筆したアダム・ジョセフソンは述べています。
その他に、RIAの提示する手数料体系が投資家のニーズにより合致していることが、その成長の要因として挙げられます。米国ではベビーブーマー世代が定年退職を迎える時期にさしかかっており、退職後の生涯資金設計という重要な決断を迫られる彼らは優秀な専門家のアドバイスを必要としています。米国の勤労者が転職の際にロールオーバー(移管)する退職年金プランの総額は数十億ドルに上り、その大部分はいずれ独立系RIAが投資アドバイスを担うことになると考えられます。また、大手証券会社に在籍していた優秀なアドバイザーの中には退職して自らの投資会社を立ち上げた人も多く、今後も同様の動きが続く見通しです。
一方、RIA業界にとって全く懸念材料がない訳ではありません。大手証券会社は相次いでフィーベースのビジネスモデルを構築し、さらに単なる株式売買だけでなくウェルス・マネジメントを手がけるアドバイザーを養成する教育に力を入れるようになって来ました。現行の規制および将来の規制改正に対応するためのコストも今後増大すると予想されます。また、市況の上昇局面では、証券会社などの方がより多くの恩恵を受ける立場にいると言えるでしょう。とはいえ、これらの要因はいずれもRIA業界の成長を阻害するほどの力はなく、今後数年間はRIA業界の躍進が期待できそうです。