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変動期を迎えるリテールペイメント市場

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2008/05/07

Abstract


リテールペイメント市場は過渡期を迎えています。現在多くのカード会社はこの世の春を謳歌していますが、向こう3年間は混乱期に入り、撤退を迫られるプレイヤーも出るとみられます。

セレントは、近い将来にペイメント業界に大きな変革が起こると予想しています。最新レポート「変動期を迎えるリテールペイメント市場」では、多くのカード 会社にマイナス影響をもたらす可能性のある波乱要因について検証し、こうした荒波を乗り越えるための戦略を示しています。
第一に、今後はインターチェンジ手数料が低下に転じることが予想されます。カード発行事業に不利な兆候が拡大しつつあり、相次ぐ訴訟が業務を圧迫する状況 が続くでしょう。カード会社がカードのポートフォリオや高コストプログラムの再評価を迫られる中、最初に見直しの対象となるのは無料のロイヤリティプログ ラムでしょう。長期的には、カード業界は受益者にコスト負担を求める手数料ベースのシステムに回帰せざるを得ないとみられます。そうなれば消費者は無料 サービスを求めて別の手段を探すことになり、他の決済手段への道をさらに開くことになるでしょう。
第二に、大手決済業者が参戦し、マスターカードやビザに対抗するような代替ネットワークが構築されるとセレントは予測します。クレジットカード専門または クレジットカード中心のカード会社は決済手法の多様化を図り(現在の景気動向や、デビット払いを好む消費者の決済トレンドからみて不可欠)、デビットサー ビスオプションを決済の選択肢として設ける、独立したデビットプログラムの構築に注力するでしょう。

こうした動きを受け、今後5年間にカード会社が取り組むべき課題は山積しています。セレントは、このような変動期を乗り切る手段として以下のような戦略を提言します。

  • 決済手段の多様化:銀行は決済方法全般を見直し、単なるマルチペイメント商品の投入だけでなく、将来の変化に柔軟に対応するための長期戦略の策定が必要となります。
  • ロイヤリティ・プログラムの精査:カード会社はロイヤリティ・プログラムの原資調達方法を厳しく精査する必要があります。インターチャージ手数料に資金を依存しているカード会社は、代替策を考えざるを得ないでしょう。
  • デビットカードとDDAの関係の見直し:魅力的なデビットカード・プログラムを提供していない会社は顧客定着のための方策を見出し、既存のデビットカードより魅力的する、もしくは現在のカードを長く利用してもらうための戦術を立て直す必要があります。


「リテールペイメント市場が過渡期に差し掛かっているのは間違いありません。カード会社の収益源は、競合他社による攻勢、インターチャージ手数料の低下、 低コストチャネルを使った一括決済に移行する消費者のトレンドによって脅かされつつあります。そのため、カード会社は融資戦略を見直すだけではなく、全く 新しい戦略によってカード利用者の取り込みと維持に努める必要があるでしょう。」とセレント銀行プラクティスのシニアアナリストで本レポートを執筆したアリアナ・ミシェル・ウィットレークは指摘しています。

本レポートでは、インターチャージ手数料、代替決済手段、独立したデビットカードがクレジットカード決済に及ぼす影響について分析しています。さらに、こ のような業界の動きが銀行にどのような恩恵をもたらし、銀行以外のプレイヤーがいかにリスクを回避すべきかについても論じています。

本レポートは13図と2表を含む48ページで構成されています。