資産運用会社におけるインフラ刷新の必要性
2017/10/13
ジェイ・ウォルステンホルム
アセットマネージャーを悩ませる逆流 — バイサイドに根付く収益性とコストの問題
Key research questions
- 収益を押し上げるだけでは足りないのか?
- 収益を押し上げる要因とは?
- コスト面を左右する要因とは?
Abstract
投資リターンの低迷や規制の強化、営業利益の逼迫といった環境下で、アセットマネジャーが競争力を維持するためには、オペレーションやシステムのあり方を進化させる必要があります。アセットマネージャー間の競争は激化しており、差別化を図るには運用成績だけではなく、豊富なポートフォリオ、効率的な業務、優れた顧客コミュニケーション、スマートなマーケティングが不可欠となっています。
バイサイドのフロントからバックオフィスの業務とテクノロジーにおいて、2016年は主に以下の6つのトレンドが見られました。2017年に入ってもこれらの勢いは衰えていません。
- 低リターンな投資環境下で、マルチアセット・ポートフォリオが台頭
- 規制強化、顧客ニーズ、コスト削減圧力に伴う業務およびテクノロジーアーキテクチャの見直し
- 投資判断のサポートツールに対するアセットマネージャーやアセットオーナーからのニーズが拡大
- システムとビジネスプロセスのアウトソーシングの普及が拡大
- ビッグデータとAI活用における各種の実験や模索が拡大
- アセットマネージャーにおける取引増と直接販売モデルの追求
今なお続くこれら6つのトレンドの根底には、共通のテーマがあります。バイサイドにとっては耳の痛い問題ですが、残念ながら避けて通ることはできません。これまでフロントからバックオフィスまでにかけての一貫した投資プロセスをあまり重視せず、十分に取り組んでこなかったことのツケが回ってきた、ということです。投資リターンが高かった時代には、発生した問題をその都度マニュアルプロセスで解決する方が簡単でしたが、今となってみれば持続可能な方法ではありません。