セル/バイサイド向け市場監視システム:戦略的ビジョンの促進
2015/05/20
アンシュマン・ジャスワル Ranjana Pieris
Abstract
最新の市場監視システムの特性を紹介し、バイサイドおよびセルサイドの金融機関にこうしたシステムの採用を促す要因を明らかにします。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 最新の監視システムの特性は? |
2 |
監視における意思決定はどこで行われるか? |
3 | 市場監視の自動化が実現する日は近いか? |
市場を監視するのは簡単なことではなく、監視システムに委ねられる作業の範囲は徐々に拡大しています。しかも市場の細分化が進み、取引の場、コミュニケーション方法、規制要件に関するデータの量は増大傾向にあり、監視の担当者は、それらに対応するだけで手一杯の状況にあります。そして彼らと同様、監視システムを手掛けるベンダーも真摯に取り組んできました。
現在、市場監視に関わるテクノロジーは膨大な数に上っています。とはいえ、ここで忘れてならないのは、取引の監視とは各資産クラスの需給状況を監視し、市場参加者の行動を左右する潜在的な誘因や理由を理解することです。また、どのようなテクノロジーを活用するにしても、意思決定はなお人間の判断に委ねられています。従って、テクノロジーは手段の1つにすぎず、最終目的ではありません。
「市場監視の将来像は変わっていくとみられます。マシン自体が学習することでシステムの予測能力を向上させ、システムによる誤判定件数を減少させるようなテクノロジーが主流になりつつあるからです。こうしたテクノロジーを単に金融機関が採用ことで、金融機関に根付く企業カルチャーを変えるきっかけにもなるでしょう」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを共同執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。