欧州保険業界のIT投資動向:2006-2010年(生命保険編)
Abstract
セレントは、欧州保険業界の2006年のIT投資総額は257億ユーロ(約3兆6,600億円)に達し、2010年にはさらに376億ユーロ(約5兆3,500億円)まで拡大する見通しです。
セレントの最新レポート「欧州保険業界のIT投資動向:2006-2010年(生命保険編)」は、今後5年間のIT投資額が緩やかなペースで拡大するとの見通しを示しています。レポートでは、運用・保守、新規プロジェクト、ハードウェア、ソフトウェア、スタッフ、サービス、通信といった様々な分野別のIT投資予測について詳述しています。
「保険会社は銀行に追いつこうとする過程で、ITが業務の中核をなしているという事実に気付き始めています。IT投資の増加は、こうしたパラダイム・シフトを反映するものとなるでしょう」と、セレントのシニアアナリストで本レポートを執筆したキャサリン・シュミットは述べています。IT投資は総額ベースでも、新契約の収入保険料に占める割合ベースでも伸びています。欧州の保険会社は現在、正味収入保険料の約2.6%をIT投資に振り向けています。保険会社にとってITの重要性が高まり、業務予算に占めるIT予算の比重が増す中、この比率は5年後には3.2%まで上昇するでしょう。
尚、損害保険業界のIT投資額は、2006年の81億ユーロ(約1兆2,000億円)から2010年には136億ユーロ(約1兆9,400億円)に増加する見通しです。その間、新規プロジェクトの投資対象は、保険契約管理や保険金請求の分野から商品デザインや販売といった方向へと若干シフトしていくでしょう。こうした動きは、厳しい競争や販売チャネルの細分化など保険会社が直面する課題を浮き彫りにしています。
一方、生命・年金保険業界のIT投資額も、業界全体の収入保険料の増大に伴い、2006年の176億ユーロ(約2兆5,000億円)から2010年には240億ユーロ(3兆4,200億円)に増加するでしょう。新規プロジェクト投資対象は、保険契約管理、引受け、ITインフラなどの分野から商品デザイン、販売、保険金請求、請求書作成へと徐々にシフトしていく見通しです。
注)ユーロから日本円への換算レートは、2006年1月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。