ウェルスマネジャーよ、クラウド導入を急げ
さもなくば取り残される危険性がある
Abstract
ウェルスビジネスのオペレーティングモデルは、ターゲットとする市場セグメントにかかわらず、競合する要素の間で最適なバランスをとることに依拠している。ウェルスとは、規模、効率性、アジリティ、イノベーション、セキュリティのバランスをとることであり、同時に各クライアントの欲求、ニーズ、要望に高度に特化した「超」パーソナライズされたレベルで顧客と関わることである。大変なことだと思われるだろうか?まさにその通りで、クラウドはゲームチェンジャーであり続けている。
クラウドの中核的な特徴は、ウェルスマネジャーがビジネスのオペレーティングモデルを最適化するための「イネーブラー」であるだけでなく、変化し続けるウェルスマネジメントのエコシステム全体にわたって技術革新を急激に加速し続けてきたことだ。
セレントは、最大手のウェルスマネジメント企業におけるパブリッククラウドの導入状況の調査と、ウェルスマネジメント業界の状況の評価に着手した。さらにクラウド導入の背景にある要因を深掘りし、ウェルスマネジャーが使用するさまざまな戦略的アプローチを調査し、クラウド戦略に影響を与える要因を列挙し、クラウドを導入した企業が実現した具体的な成果をまとめた。
これまでウェルスマネジメントにおけるクラウドの導入は、金融サービス業界が厳格な規制の下にあることと、非常に機密性の高い顧客データの保護に対する懸念とが相まって、他の業界に遅れをとってきた。
ウェルスマネジメントの情報セキュリティ、リスクとコンプライアンス、エコシステムの管理/統合/統制に対する優先度は非常に高く、ウェルスマネジャーはサードパーティへのアウトソーシングに消極的であった。
しかし競争圧力の高まりと急激なテクノロジーの変化、そして成功事例を目の当たりにしてきたことで、パブリッククラウドに対するウェルスマネジャーの姿勢も変化してきた。そしてその結果、クラウド導入が加速したのである。以下の図が示すように、ウェルスマネジャーはより幅広い業界のベンチマークを上回っている。
ウェルスマネジャーは、クラウドを含む新しいテクノロジーのエコシステムを積極的に導入すべきであろう。さもなくば取り残されてしまうだろう。