ブロックチェーンとデジタル通貨戦争:カウンターパーティリスクのないデジタルアセット
Abstract
本レポートは、ブロックチェーンと分散型帳簿テクノロジーが価値の変動と資本市場に及ぼす影響に関するレポートシリーズの第3弾です。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | カウンターパーティ・リスクのないデジタルアセットとは? |
2 |
何がベビーブーマー世代の転換点となるか? |
3 | それは金融機関のデジタル戦略にどのような影響を及ぼすか? |
イノベーションが価値の移転手段をガラリと変えつつあります。その結果、最適な決済サイクルによってピアツーピア(P2P)による移管可能なデジタルアセットが生まれ、カウンターパーティ・リスクが軽減あるいは除去されるようになっています。
デジタルアセットの次なる波は、新たな分散型インターネット・アーキテクチャの資金調達手段となる可能性があり、それらの投資が成功した場合はこれまでとは全く性質の異なる金銭的リターンを生むと考えられます。
こうしたアセットはP2Pによって移管でき、最適な決済サイクルで決済を完結することができます。
その例として、ブロックチェーンと分散型帳簿上に組み入れられている承認のいらない暗号通貨、承認されている暗号通貨、貴金属などが挙げられます。ベビーブーマー世代は今年71歳になり、退職年金資産からの最小要求引き出しが義務づけられます。
資本市場にとって、ベビーブーマー世代による退職年金資産の現金化がボラティリティ、流動性および全体的な資本の配分に及ぼす影響を消化する時期が重要になるでしょう。
これと時期を同じくして、デジタルアセットという、飛躍的なアップサイドをもたらす可能性のある新たな資産クラスが登場しているのです。金融機関がこうしたトレンドに対応するためには、慎重かつクリエイティブに独自のデジタル戦略を策定する必要があるでしょう。
「暗号通貨の値動きが異例であることは見逃せません。こうした通貨はプルーフ・オブ・ワーク、51%攻撃、プライバシーといった課題を抱えており、高リスク資産であることは変わりありません。しかし、資産の組み合わせ、金融政策およびテクノロジーのトレンドは収れんしつつあり、世界の金融システムの定義が見直されています。Enterprise Ethereum Allianceは、組織としてこのエコシステムにいかに積極的に取り組むべきかを示す好例といえるでしょう」
「デジタルアセットの新しい波はまだ始まったばかりで、これが巨大な富の創出、移転あるいは破壊にさえ発展する可能性があります。分散化は中心的なテーマとなりつつあり、その影響はかなり大きいでしょう」と証券プラクティスのシニア・アナリスト、ジョン・ドゥワイヤーは述べています。