規制に賢く対応するには:実行計画とアプローチ
Embracing Good Practice Planning and Execution Approaches
Abstract
(このレポートは2011年8月9日に"「Getting Smart About Regulation:Embracing Good Practice Planning and Execution Approaches"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2011年10月3日に発行しました。)
金融機関は、組織的な規制対応戦略の策定を通じて収益拡大を図ることが求められます。ここ数年、規制対応の重要性はますます高まっています。違反をした金融機関には実質的な罰金が科されるほか、評判の失墜といった影響も避けられません。ただ、昨今の業界全体を巻き込む規制強化の動きは(ドッド=フランク法、欧州市場インフラ規制(EMIR)規制、バーゼルⅢ、国際財務報告基準(IFRS)など)、業務コストの重荷となるだけでなく金融機関の競争力を根幹から揺るがし、収益にも影響を与える可能性があります。ここ10年間は規制の対象範囲や規模が一貫して拡大する傾向にあり、グローバルな金融機関の場合、大幅な規制改革や大規模な変更が実施されると1社当たり1,000万~3億ドル超(約7.8億円~233億円)の費用負担を余儀なくされています。
セレントは、最新レポート「規制に賢く対応するには:実行計画とアプローチ」で金融機関が成功するためのコア・コンピタンスを分析しています。具体的には、効率性と柔軟性の大幅な向上、リスク/財務/規制関連業務の実施および持続コストの管理、そして最も重要なのは規制関連投資の有効活用による業務機能の強化が挙げられます。
金融機関は、これまで規制対応は「非生産的で無駄なコスト」であり、業務の足かせ要因にすぎないと捉えてきました。また、過去10年間の前例を見る限り、それらの実施コストは現在進行中の規制関連プロジェクトで明るい見通しを描くことに生かされていません。
「金融機関が関連する様々な規制への対応戦略を練る際には、①これまでの常識に則ったアプローチをとる、②収益拡大を可能にする組織的な規制対応戦略の策定を通じて難しい課題に正面から立ち向かう、という2つの方法があります」と、セレントのリサーチ・ディレクターでレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。
本レポートは、勝者と敗者を決定づける規制、リスクおよびコンプライアンスのサイクルを分析しています。規制対応を成功への足がかりと位置づけて戦略的機能を確立している金融機関は、既に投資家、規制当局および顧客から高い評価を受けています。またレポートでは、金融機関の規制対応計画やIT執行アプローチの改善点を明らかにし、金融機関が今後導入される重要規制(ドッド=フランク、EMIR、バーゼルⅢなど)にどのような立場で対処するのが最善策であるかを提言しています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2011年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。