想定外の事態に対処する: 決済インフラの支配を失いつつある銀行【全訳版】
Abstract
(このレポートは2013年5月23日に"Thinking the Unthinkable: Banks Relinquishing Control of Their Payments Infrastructure"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2013年9月4日に発行しました。)
銀行予算は縮小傾向が続いているにもかかわらず、支出はより大きくなっています。そのため、決済処理方法の大幅な転換を迫られる銀行が増えています。
銀行業界は厳しい時期をくぐり抜けてきました。今後は明るさが見えるものの、独自の課題に直面せざるを得ないでしょう。セレントの最新レポート「想定外の事態に対処する:決済インフラの支配を失いつつある銀行」はその内容を具体的に紹介しています。
決済業務は銀行のコストの大部分を占めていますが、差別化がしにくい分野です。実際のところ、ストレート・スルー・プロセッシングを徹底するため、決済の標準化に向けた取り組みが進んでいます。一部の銀行は、「より少ない投資でより大きな成果を上げる」という従来のアプローチを超える、大胆な変革が求められるでしょう。すなわち、テクノロジーの移行だけでなく考え方の転換が必要になります。その解決策としてアウトソーシングの存在感がますます高まり、特にクラウドコンピューティングは最も大きな転換をもたらす可能性を持っています。決済は今、アプローチの大幅な転換が求められているのです。
決済業界では、カード事業など一部で既にアウトソーシングが行われています。また、銀行は周辺分野で既にクラウドコンピューティングを利用しています。しかし、中核の決済処理業務については、アウトソーシングはほとんど検討されていません。しかし、より思い切ったアプローチを取らない限り、銀行の変化は漸進的なものにとどまるでしょう。
「これまで決済業務はその効率化に重点が置かれてきましたが、他の銀行と同じ方向を目指していても、差別化はますます難しくなるでしょう。これまでとは異なる価値理念にフォーカスすることにより、一歩先んじることも可能になるのです」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したガレス・ロッジは述べています。
レポートでは、転換が「許容範囲にある選択肢は何なのか」といった先入観からスタートしたもののではなく、「銀行が何を達成したいのか」に目を向けて、変革後の姿についての明確なビジョンに基づくものであるべきとしています。また、銀行がクラウドコンピューティングを活用してどのような差別化が可能かについても考察しています。
本レポートは22p、6図と2表で構成されています。