日本の金融機関における取引後処理:証券会社、銀行、投資顧問会社のバック/ミドルオフィスにおけるSTPの導入状況
Abstract
(このレポートは2009年3月18日に"Post-Trade Processing in Japan: Back and Middle Office STP at Brokerages, Banks, and Asset Managers"というタイトルで英文で発表されましたが、日本語版が2009年5月19日に発行されました。)
セレントが日本の主な金融機関を対象に行った調査によると、日本ではミドル/バックオフィスのコストが依然として高く、金融機関が業務自動化による効率性向上の機会を逃している状況が明らかになりました。
日本の資本市場は変化のまっただ中にあります。デリバティブやその他の新商品の成長、クロスボーダー取引の拡大、先進的な執行システムの普及などを受け、金融機関はミドル/バックオフィスの業務改善を迫られています。
セレントは最新レポート「日本の金融機関における取引後処理:証券会社、銀行、投資顧問会社のバック/ミドルオフィスにおけるSTPの導入状況」で、システム間のトランザクションフローは概ねSTPに対応しているものの、例外処理やコーポレートアクションについてはワークフローの自動化がほとんど進んでいないと指摘しています。システムが細分化されていることや資産クラスを越えた合理化が進んでいないこともSTPの導入を阻み、ITコストの削減余地を縮小させる要因となっています。今回調査対象とした3つの金融セクター(証券、銀行、投資顧問)のうちSTPのレベル向上に最も力を入れているのは投資顧問会社で、逆に最も取り組みが遅れているのは銀行です。
出典:セレントの日本STP調査
「特にデリバティブのOTC取引は、STPへの対応が遅れています。日本のOTCデリバティブ市場は拡大傾向にあります。年金など伝統的なバイサイドの間でも取引が活発化しており、金融機関は効率的な処理方法の開発を迫られています」とセレントアジアリサーチグループのシニアバイスプレジデントでレポートを執筆したニール・カタコフは述べています。
レポートではデリバティブ、株式、外国為替、キャッシュ、債券など様々な資産クラスにおけるSTPの導入状況を明らかにしています。また、資産クラス別および取引後サイクル(執行の通知から決済、受渡し、支払いまで)の段階別に、STPの導入を阻む共通の要因を分析しています。さらに、日本の金融機関がSTP導入プロジェクトを優先的に進めている分野を特定するとともに、STP導入に向けた全体の予算規模についても明らかにしています。
本レポートは34図と11表を含む全44ページで構成されています。