コーポレートモバイルバンキングの最新動向:進む安全性と進まない普及【全訳版】
Abstract
(このレポートは2014年9月17日に"Corporate Mobile Banking Update: Adoption Conundrums and Security Realities " というタイトルで英文で発表されましたが、全訳版を2015年2月6日に発行しました。)
企業向けモバイルバンキングをめぐる明るい材料として、安全性の著しい向上が見込まれることが挙げられます。一方、セキュリティ上の不安(その一部は根拠がない)からその普及がなかなか広がらない状況は課題といえるでしょう。
コーポレートモバイルバンキングには、そのリスクを上回るメリットがあるのでしょうか。普及面の問題はあっても、銀行はこの分野への投資を行うべきでしょうか。
モバイルは顧客とのタッチポイントとして不可欠であり、どこからでも可能なアクセス、アラートおよび通知機能、キャッシュフローの改善といった複数の重要なメリットをもたらします。企業向けモバイルバンキングのメリットのうち見逃されがちなのは、セキュリティが一層強化されていることです。経営幹部がモバイルで警告を受信した場合、不正と思われる取引をほぼリアルタイムで阻止することが可能です。しかし、こうした機能が追加されていても、なお安全性に不安のある企業もあり、またその姿勢は正しいといえるでしょう。信頼できるテクノロジーを使って安全な意思決定を行うことが不可欠になっているからです。
「これは、卵が先かニワトリが先かという議論と同じです。企業の間でモバイルバンキングの普及が進んでいない中、銀行がこの分野への投資を優先させることはかなり難しくなっています。全ての銀行は、オンライン、モバイル、タブレット・バンキングに対応可能なデジタルインフラへの投資を怠るべきではありません。今すぐ実際のモバイルソリューションを実装する必要はありませんが、顧客の要望があれば迅速に提供できる体制は整えておくできでしょう。銀行が、苦労して確保したIT予算を企業向けモバイルバンキングのアプリおよびソリューションに振り向ける際には、顧客ニーズを反映させる必要があります」とセレント銀行グループのリサーチディレクターでレポートを執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。
レポートでは、コーポレートモバイルバンキングの現状について分析し、その普及状況の詳しい調査結果と普及の阻害要因を明らかにしています。次に、企業向けモバイルバンキングの安全性をめぐる誤解と真相について論じています。最後に、企業ユーザーに向けてモバイルバンキングのベストプラクティスを紹介し、銀行がオンライン/スマートフォン/タブレット・バンキングに対応可能なデジタルインフラに投資すべき理由を説明しています。