日本の銀行業界におけるレガシー・モダナイゼーション パート2:銀行業界への提言【日本語】
Abstract
このシリーズでは、日本の金融業界における、レガシー・モダナイゼーションの現状と今後の方向性を考察します。分析の対象を銀行セグメントに絞り、パート1では、銀行業界の現代化の現状を把握し、続くパート2では、そこでの対処策と銀行業界への提言を述べます。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 日本の銀行業界における、レガシーシステムの現代化はどの段階にあるか? |
2 |
銀行にとって、現代化とは何か?それは何故か? |
3 | 銀行は、どのようにして現代化を進めるべきか? |
長らく日本の銀行業界は、インテグラルモデル(垂直統合モデル)を追求してきました。新卒の採用に始まり、社内教育と人事ローテーションにより、生え抜き社員が経営幹部をつとめ、組織は、本部、本店、支店、事務センター、コンピューターセンターに加え、金融サービス、銀行サービスの関連子会社を多数抱え、巨大なファイナンシャルグループを形成しました。一方で、人事や組織の変更を待たずして、商品サービスの流れは垂直統合の限界を超え、モジュラーモデル(水平・垂直分業)への転換点を迎えつつあります。低金利の金融環境は、銀行を投資信託、保険、信託、不動産など、多種多様な品揃えを競う金融商品販売会社に変貌させつつあります。信頼性の高いアグリゲーターとして、金融サービス全般でのアドバイザリーサービスが期待され、既に、金融商品サービスの製造と販売は分化しつつあります。
「ポイントは、従来不可分であった顧客接点、サービスプロセス、インフラ接続の3モジュールを単に分化するだけでなく、それぞれ単独で「収益化」するところにあります。そして、3モジュール間の相互依存性を下げることで、金融サービス、銀行サービスの国や地域への依存性を下げ、アドバイザリーと金融商品サービスのグローバル展開の可能性を加速します。また、国や地域に依存する金融インフラへの接続は、グローバルに展開するインフラ事業者にとって、新たなサービスアリーナとなるでしょう」と、アジア金融サービスプラクティスのシニア・アナリストでレポートを執筆した柳川英一郎は述べています。
本レポートは、46p、29図で構成されています。