カナダにおけるロボアドバイザー:氷解するウェルスマネジメント市場
Abstract
カナダでは、自動投資アドバイスの元年とも位置付けられる2014年にWealthSimpleやNest Wealthといったロボアドバイザーが市場に投入されたのを機に、その後大きな進化を遂げてきました。変革が加速した背景には、ロボアドバイザーの学習カーブが上昇していることに加え、カナダ市場に特有の経済、規制および人口動態上の特徴があると言えるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | カナダにおけるロボアドバイザーの現状は? |
2 |
同国のロボアドバイザーの発展を牽引してきた要因は? |
3 | カナダのロボアドバイザーは成功するためには何をすべきか? |
本レポートは、銀行が支配してきたウェルスマネジメント業界にロボアドバイザーがどれほどディスラプティブな影響を及ぼしているかを明らかにしています。
銀行をはじめとするウェルスマネジメントの既存プレーヤーはこれまでロボアドバイザーに対して懐疑的な見方をしていましたが、今では低コストで透明性の高いサービスを顧客に提供するロボアドバイザーに脅威を感じ始めています。BMOのロボアドバイザーへの参入は彼らの攻勢に対する最初の対抗措置と捉えられ、これを受けてスタートアップ企業は汎用化されたポートフォリオ運用機能を超えた、より幅広いサービスの提供を迫られています。
人口動態や規制の動向を追い風に、ロボアドバイザーは銀行、資産運用会社、保険会社などにとっても魅力的なビジネスになっており、今後は他の既存プレーヤーもBMOに追随して市場参入を図るとみられます。これらの既存プレーヤーが組織内の障害を克服し、ロボアドバイザーと既存のサービスチャネルを融合させることができれば、自動投資アドバイス市場でのシェア獲得も可能でしょう。
銀行やその他の大手既存プレーヤーの多くは現行の利益率の大きさや、既に市場で支配的立場を確立していることを理由にこの分野への進出をためらってきましたが、こうした優位性は将来も保証されたものではありません。
「カナダの投資家は割高な投資アドバイスに辟易しており、ロボアドバイザーはデジタルという時代の流れに沿うものです。いまや、ウェルスマネジメント市場が氷解するかどうかではなく、いかに速く解けるのかが焦点となっています」とセレントのシニア・アナリストでレポートを執筆したウィリアム・トラウトは述べています。