LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)から代替リスクフリーレート(AFR)に移行するためのテクノロジー・ソリューション
誤りは是正されるのか?
Abstract
かつて誰からも認知され、幅広く利用されていた(ロンドン)銀行間取引金利(IBOR)は、その後批判の的となって忌み嫌われ、いま姿を消そうとしている。規制当局や市場ウォッチャーは、同金利が不正操作の温床となり、市場の動向をより正確に反映している他の指標に不利益が生じている状況を目の当たりにしてきた。これまでLIBORを参照してきた取引は総額250兆ドルという巨額に上り、現在これらを代替金利指標(リスクフリーレート)に移行させる作業が進められている。パートナーとなるテクノロジープロバイダーと協力してこの重要な移行作業に取り組もうとしている金融機関は、多くの課題に直面している。
一部の金融機関にとって今回の移行は存続に関わる問題で、既存のあらゆる業務および取引相手の変更を迫られており、数千人が多種多様な事項に対処している。目下の懸案は予期せぬ結果が生じることであり、商品、ヘッジ取引、リスクエクスポージャー、カウンターパーティ、リスクレベルをめぐる複雑なやり取りが長期化しかねないことだ。
本末転倒の状態
ドル建てLIBORを参照する契約の名目残高のうち95%は店頭(OTC)および上場デリバティブ取引が占めている。
西暦2000年問題(Y2K)を経験している世代はIBORの移行を同じような感覚で捉えており、少なくとも金融業界は「世界の終わり」であるかのように大騒ぎすることではない(Y2Kは竜頭蛇尾に終わった)と考えている。むしろ似たような事例として、ドッド・フランク法の施行に伴い金利デリバティブの決済・清算業務に対する規制が強化されたことを思い出している。確かに、その際にもワークフローの多くが変更された。だが価格決定、バリュエーション、モデル管理、テクノロジー、資本配分、リスクの面で大きな差異が生じ、意図しない結果をもたらした。
膨大な作業が求められるなか、金融機関の多くが特に注力すべきはテクノロジー、システムおよびインフラ面の課題だろう。セレントの推計では、資本市場に軸足を移している金融機関では関連コストの35%をテクノロジーに振り向けることになるとみられる。現行の金利制度、LIBORからの長期にわたる移行プロセス、AFRの将来像に対応していくため、テクノロジーコストの大部分は既存システムのアップグレード、リプレースまたは再構築に充てられる見通しである。
・IBOR時代が誤りだったのか、今回の変更がさらに大きな誤りにつながるのか、多くの疑問の声が投げかけられているが、今後の動向に注目したい。
LIBORからの移行に向けたテクノロジー・ソリューション
(詳しい情報は、セレント北川俊来TKitagawa@celent.comまでお問合せください)