パート1:賢明なデータイネーブルメント戦略を探る
Abstract
投資会社や投資家が環境、社会、ガバナンス (ESG) の問題をどのように投資判断に組み込むか検討する中、持続可能性の課題に対し一貫したビジョンを実現しポジティブな変化を起こすまでの道のりはますます複雑になってきている。ESGや持続可能性に対する楽観的な見方は、「グリーンウォッシング」の懸念が広がったことで傷つき打ちのめされている。その結果、業界で継続している移行への取り組みには信頼性ギャップが生じており、企業には「口先」だけでなく、「有限実行」が求められている。どうすればこれを達成できるだろうか?
ESGについて「有言実行」するとは、企業がESGデータ管理方法をより強力に産業化する必要があることを意味する。つまり、テクノロジーとデータをイネーブルメント (有効化) する機能を拡張する際は、複数の消費シナリオを検討・調整し、さまざまに分析しなければならない。
成功の可能性を高めるために、企業は予想されるビジネス需要、データの一元化/オーナーシップ、開発ライフサイクルのガバナンス、コントロール、さまざまな投資単位/グループにわたる標準化レベルを考慮しながら、さまざまな「ESG関連ドメイン」間の機能の境界について、テクノロジー面での戦略的意思決定を行う必要がある。
この調査シリーズでは、企業が採用できる戦略上の選択について情報を提供し方向性を示すほか、ESGデータイネーブルメントに向けた取り組みにおいて望み通りの成果を実現できるよう、特徴の異なるESGエコシステムの様々なアーキタイプを紹介する。
今後、投資運用会社にとって、差別化されたインサイト、データに基づく意思決定、より強力な業務効率化に向けて、データイネーブルメントにおける重要課題を解決することが、この幅広い方程式の核心部分であると思われる。実際のところ、賢明な企業は既に、無駄のない目的に合ったテクノロジーおよびデータ運用モデルの実現に向けてビジョンを策定・実行するために、より周到で統合的なアプローチを追求している。
ESGおよび持続可能性の文脈において、情報の「ブラックホール」を効果的に回避し、独自のデータセットを集め、ポートフォリオの意思決定のために迅速にカスタマイズする能力を開発することで、リーダー (先駆者) とラガード (遅滞者) を分ける情報優位性が生まれるだろう。
本調査は、ESGの約束を実行するにあたり、より確実に (より持続可能に) 信用を裏付けるため、ESGテクノロジーおよびデータ管理方法の産業化に向けた戦略的選択肢を探求しているアセットマネージャーおよびソリューションプロバイダーに、インサイトを提供するものである。
本レポートは、Oliver Wyman社のDigital and Data & Analytics PracticesソリューションアーキテクトChris Perks氏と共同で行ったものである。
-----------
バイサイド、セルサイド、および市場インフラストラクチャの動向およびテクノロジーのインサイトに関する詳細な調査については、セレントのキャピタルマーケッツ・プラクティスを参照されたい。
セレントのお客様であれば以下の関連レポートにもアクセスいただける。
- Technology Trends Previsory: Capital Markets, Buy Side 2023 Edition
- Celent Model Award Case Study: Western Asset Management - Accelerating Screening for Greater Impact
- Asset Managers' ESG Delivery Is Under Regulatory Scrutiny: Here's How Technology Can Help
- It's Not Easy Being Green: Developing the Optimal ESG Portfolio Engine
- ESG Data Management in Capital Markets: A Time of Opportunity
- Operational Alpha on the Buyside: Riding New Waves from Front-to-Back Technology, Data, ESG and Outsourcing
- Enterprise Data Management Visions and Trajectories for Investment Managers