アジアにおける取引後処理の最新動向:グローバルスタンダードを目指すCCPとCSD【抄訳版】
Abstract
(このレポートは2015年11月19日に"Asian Post-Trade Landscape: CCPs, CSDs Aiming for Global Standards" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2016年4月12日に発行しました。)
※ダウンロード: レポート(日本語)=抄訳版PDF、(英語)=原文レポートPDF
取引後処理を手掛けるアジアのプレーヤーは、業務方針およびプラクティスをグローバルスタンダードで標準化し、海外からの参加者の確保と競争力の向上を目指しています。アジアの取引後処理業界は、国ごとの縦割り状態が続くとみられます。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | アジアにおける取引後処理の変革を促す力となるのは何か? |
2 |
アジアのCCPおよびCSDをめぐる主なトレンドと発展状況は? |
3 | 今後、アジアの取引後処理はどのように進化するか? |
本レポートはアジアの中央清算機関(CCP)と証券集中保管機関(CSD)にみられる主なトレンドと現在の発展状況について分析します。アジアにおける取引処理はここ10年で抜本的な変化を遂げ、証券取引所および店頭市場の売買高は急増しています。アジアでは金融の自由化に伴い、新たな商品や資産クラスを取引する機会が生まれています。取引環境の継続的な進化とともに、取引後処理業務も大幅な変化を余儀なくされています。
アジアのCCPおよびCSDの多くは、市場を独占あるいはほぼ独占する立場にあります。2008年の金融危機以降、CCPやCSDなど金融システムにおける重要機関の安全性、安定性、適切なリスク管理を徹底することが規制当局の最重要テーマとして浮上しています。アジアの規制当局は、欧米の当局が示した指針に素早く反応してこれらに追随し、グローバル基準に見劣りしないベストプラクティスを確立するとともに、自国の市場を国内および海外のプレーヤーが等しく活動できる場にしています。
アジアの取引後処理業務業界では現代化が進行中です。「大部分のプレーヤーは、数年に及ぶ大規模なシステム変革プロジェクトに取り組んでおり、既存のシステムとプロセスを更新・改革するために多くのリソースを投入しています。また、自社システムの機能を補完する目的で第三者のソリューションを採用することも検討しています。こうしたソリューションは商品化のスピードアップを可能にし、特に商品を投入する上で役に立つ専門ノウハウを備え、コスト削減にもつながります」とセレント証券グループのアナリストでレポートを執筆したアリン・レイは述べています。
今回の分析では、アジアの主要市場のうち地域全体のGDP、時価総額、売買高に占めるシェアが大きいオーストラリア、中国、香港、インドおよび日本の5つを対象に選びました。
レポートではまず、アジアの資本市場全般の現状、中でも取引後処理の業界、この地域で取引後処理を手掛ける業者の組織体制、所有形態、商品およびサービスを紹介、また市場の主なトレンド、各国に特有な進化の状況を説明し、アジアの取引後処理の今後の進化の方向性についてセレントの見解をまとめています。