マス富裕層を取り込むには
2015/03/16
Abstract
ウェルスマネジャーは今、次世代の顧客をいかに効果的に獲得・維持していくかという課題に直面しています。こうした顧客の大部分はマス市場またはマス富裕層の投資家であり、XおよびY世代に属しています。
本レポートは、マス富裕層がウェルスマネジャーにとっていかに重要なビジネスチャンスをもたらすかを検証しています。ただし、今日の事業環境下ではこうしたチャンスが収益性の向上に結びつくとは限らないでしょう。レポートでは、保有する投資可能資産残高が25万~100万ドルの個人顧客をマス富裕層と定義しています。
「我々の推計では、米国の個人投資家人口のうちマス富裕層は約16%を占め、その規模はマス市場に次ぐ大きさとみられます。X/Y世代と「マス富裕層」は必ずしも一致する訳ではありませんが、X/Y世代というプリズムを通してこの顧客セグメントに対する理解を深めることはできるでしょう」とセレントのウェルスマネジメントグループのシニアアナリストでレポートの共著者であるウィル・トラウトは述べています。
本調査では主に以下の点が明らかになりました。
- マス富裕層は収益性の高いセグメントではないが、この市場を適切に分析し、最適なチャネルを通じて最適な商品を提供できるればビジネスチャンスとなる
- 既存の富裕層および超富裕層顧客の市場は成熟段階にあることから、資産運用業界全体としてマス富裕層に焦点を合わせる時がやってきた
- テクノロジーおよび自動化の進化に伴い、ウェルスマネジャーはこれまで富裕層の投資家向けに限定していたソリューションをマス富裕層にも提供できるようになっている
- 統合プラットフォームを導入することで、マス富裕層向けにコスト効率の良いデリバリーとより優れた顧客経験の提供が可能になるというメリットがある
「マス富裕層の顧客を獲得するためには、テクノロジーの導入と顧客のセグメント化が不可欠です。優れたデジタル戦略、プロセスおよびデータのデジタル化、柔軟な投資体制、顧客セグメントに即したオーダーメイドの商品・サービスの提供に成功した金融機関がこのセグメントを制するでしょう」とアナリストでレポートを共同執筆したアシュレイ・グローブマンはコメントしています。