ストアド・バリュー・カードの真価
Abstract
セレントの最新レポート「ストアド・バリュー・カードの真価」は、急成長を遂げているストアド・バリュー市場について分析し、同市場における銀行のビジネス機会と課題の概要を示しています。さらに、ストアド・バリュー・カード(価値保存型カード)の利点や銀行が直面する規制上の諸問題について考察するとともに、ギフトカードや給与カードに関する実例を検証しています。
「ストアド・バリュー・カードは、消費者にとっては便利な現金代替手段となりつつあります。また、ペーパーベース一辺倒だった決済システムから電子決済システムへの移行を望む多くの企業にとっては打開策といえます。このような状況でストアド・バリュー・カードは、新たな業界を形成しつつあり、消費者の財布として、また決済市場においても急速に存在感を増していくでしょう」と今回のレポートの著者であるアリアナ‐ミシェル・ムーアは述べています。
急成長の結果として、ストアド・バリュー・カードを巡り、テロリストによる資金調達、ID盗難やID照合など諸問題の規制に関する論議が興っています。
2004年には、33の州でストアド・バリュー市場関連の法案が計100件提出されました。その他の問題としては、コスト面、市場の競合商品との競争、投資利益確保の難しさなどがあります。このように、今日のストアド・バリュー・カードを取り巻く環境には未解決の問題が山積しているのですが、多くの銀行によるこの分野への進出の検討は止まらず、引き続き関心の高さがうかがえます。
ストアド・バリュー技術の進歩とともにカードに様々な特典が付与されたことを受け、市場におけるストアド・バリュー・カードの発行数は飛躍的に増加しています。カード発行会社は、消費者決済市場のセグメント別にというように様々なターゲット分野に応じて、多様な手法でカード機能をパッケージ化することができます。現在すでに商品化されているストアド・バリュー・カードには、ギフトカード、保険金請求カード、給与カード、レストランカードなどがあります。
当レポートの主な論点は以下のとおりです。
-
ストアド・バリュー・カードは数多くのビジネス機会をもたらす
ストアド・バリュー・カードは、発行会社とカード保有者の双方にとって極めて高い柔軟性があります。発行会社は、現金決済を行っている消費者を取り込むことを目的としたカードとしてマーケティング計画が立てられます。
-
ストアド・バリュー・カードには異なるタイプがある
ストアド・バリュー・カードにはクローズド型とオープン型があり、市場によってこれらを使い分ける場合もありますが、本来は2つの独立した商品と捉えられます。前者は特定の店舗や企業との契約に基づくもので、後者のオープン型は新しい決済方式と言えるものです。いずれも様々な市場で活用が見込めますが、決済市場においては当然のことながらオープン型カードが主流となるでしょう。
-
基本的には同一でも、全般的には様々である
オープン型のストアド・バリュー・カードは、基礎となるテクノロジーやプラットフォームが同一でも、エンドプロダクトが全く別の物となる可能性があります。ターゲットマーケット、コスト面、市場の他の手段、手数料体系、規制上の負担などの要素がかなり多様になり得るからです。
-
規制面での懸念が大きい
昨今、ストアド・バリュー・カードは普及が進み、新たな決済手段としての認知度が高まっていますが、これを取り巻く規制環境は曖昧さと不透明感に満ちています。このため、事業を運営する上ではリスクの高い環境となっています。
-
ギフトカード
市場の競合商品、価格弾力性、販売上の諸問題などを考慮すると、銀行がギフトカードを発行することはリスクの高い企画であると言えるでしょう。
-
給与カード
給与カードは、多くの米国世帯の問題を解決し、明確な利点を持っています。また、簡単にアクセスできない消費者セグメントを取り込むためのチャネルとなる可能性もあります。さらに、企業側にとっては預金口座の対象との接点となります。
このレポートは、全45ページで構成されています。