中南米の取引後処理業界:確実なる成長
Abstract
中南米では、国家主義的な市場や厳格な規制が取引後処理業界の競争力を低下させ、海外プレーヤーの参入を阻んできました。そのため、これまで同地域の競争力は非常に低かったものの、ここにきて状況は変化しつつあります。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 中南米の取引後処理市場で、最近目立つトレンドとは? |
2 |
主要市場におけるCCPおよびCSDのサービスにはどのような違いがあるか? |
3 | 中南米の主要市場における取引後サービスの特徴とは? |
本レポートはブラジル、メキシコ、チリの取引後処理サービスプロバイダーに焦点を当て、最近の動きを明らかにしています。中南米各国の政府と規制当局は、多様な資本市場のルールを標準化し調和させることに苦慮しています。その障害となっているのは域内の市場における発展度の差で、「万能のソリューション」が見つからないからです。
しかし、ラテンアメリカ統合証券市場(MILA)がチリ、コロンビア、メキシコおよびペルーの資本市場も含む大きな統合市場の実現に向けた一歩となっており、これらの国の規制当局は各国市場の調和を図り、取引および取引後処理のインフラを簡素化することを目指しています。取引所も、他の市場の競争力向上を促す推進力となっています。
ブラジルは引き続きこの地域の最も進んだ資本市場といえますが、チリとメキシコも取引後処理インフラの分野を中心に大きな進歩を遂げています。その他の国は今のところ後れを取っています。中南米諸国では国営の取引所が支配的な立場にあるため、取引後処理業界の細分化は進んでいません。
レポートでは中南米の取引後サービス市場の最近のトレンドを明らかにし、現在市場に参入しているCCPとCSDの最新の動きについて世界の他の地域の競合プレーヤーと比較しながら説明しています。
「取引後サービスのインフラプロバイダーは、テクノロジーの採用および近代化で後れを取る傾向があります。一方、ここにきて当局が市場インフラの改善を後押ししていることから、CCPをはじめCSDの間でもこれに対応する動きが続いています」とセレント証券プラクティスのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。