リテールバンキングのテクノロジートレンド:アジア、欧州および北米
Abstract
(このレポートは2011年1月24日に”Top Trends in Retail Banking: Asia, Europe, and North America”というタイトルで英文で発表されましたが、日本語版を2011年6月21日に発行しました。)
セレントでは、毎年、世界中のアナリストの考察を総括し、銀行、ベンダー、顧客およびそれ以外、監督当局、中央銀行から得た情報をもとに各地域の主要トレンドをまとめています。今回の考察では、銀行は守りから攻めの姿勢に転じ、事業拡大に向けた戦略を探っていることがわかりました。
2009年の世界的な金融危機以降、銀行の業務遂行のあり方は難しさを増しています。世界のどの地域の銀行も景気低迷によるあおりを受け、ここにきてようやく景気回復の兆しが見え始めたところです。また、金融システムが崩壊の危機にさらされたことを受け、銀行に対する社会や監督当局の目にも厳しさが加わっています。昨年発行したレポートでは、世界の銀行の最優先課題として次の3つが挙げられました。
- リスク管理
- コスト削減
- マルチチャネル販売の推進
最新レポート「2011年 リテールバンキングのテクノロジートレンド」では、多くの銀行が再び前進を始めた現状が明らかになっています。金融危機の発生当時他の地域ほど大きな打撃を受けなかったアジアでは、成長の勢いが加速しています。
- マルチチャネル販売は今回も優先課題のトップ3に選ばれ、モバイル機器を通じたキャッシュマネジメントやインターネットバンキングの顧客満足度などがテーマに挙げられています。
- ペイメントへの注目が高まっています。手数料ビジネスであるキャッシュマネジメントは金融危機の影響を受けなかったため、銀行は世界各地でこの分野への投資を拡大しています。
- 販売チャネルの多様化、顧客収益性の向上、リスク管理に取り組むなか、多くの銀行は全社レベルでアーキテクチャを構築する必要性を認識しており、組織全体のニーズをITに反映させることがより重要になっています。決済サービスハブ(PSH)、エンタープライズサービスバス(ESB)、サービスオリエンテッドアーキテクチャ(SOA)、エンタープライズデータウェアハウス(EDW)といったテクノロジーを検討する上で、銀行は自行のビジネスをより総合的な視点から捉えるようになっています。
「リテールバンキングの分野では世界中で様々なプロジェクトが進められていますが、いくつかのテーマは繰り返し取り上げられます。アプローチの仕方には違いがありますが、モバイルバンキングは世界中で注目を集めるテーマになっています。従来のチャネル以外のチャネルの利用が広がるなか、銀行もマルチチャネルに取り組み始めています。家庭用スキャナーやモバイル機器を使ったリモートデポジットキャプチャー、SMS/インターネット/アプリケーションからアクセス可能なモバイルバンキング、個人向けインターネットバンキングなど様々なチャネルに投資し、顧客とのより密接な関係構築を目指しています」と、セレント銀行グループのシニアバイスプレジデントでレポートを執筆したバート・ナーターは述べています。
このレポートは16図1表を含む44ページで構成されています。