コネクテッド・デュー・デリジェンス:相互KYCアプローチはなぜ必要か【抄訳版】
Abstract
(このレポートは2015年11月19日に" Connected Due Diligence: Why the Industry Needs Mutualized KYC" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2016年425日に発行しました。)
※ダウンロード: レポート(日本語)=抄訳版レポートPDF、(英語)=原文レポートPDF
KYC(顧客確認)関連規制の遵守に向けた金融機関の取り組みは今、変化しつつあります。これまで、機密性の高いリスク管理およびコンプライアンス業務のアウトソーシングに対して消極的なスタンスをとってきた金融機関も、最近は財政および規制上の圧力を受け、こうした方針を見直す動きが広がっています。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 顧客のデュー・デリジェンスに関する情報は、ほかのどの業務/規制分野をサポートできるか? |
2 |
KYCのライフサイクルにはどのような段階があるか? |
3 | KYCにおいて、相互アプローチはいかに有効か? |
2008年の金融危機後、予算に余裕がなくなった金融機関はアウトソーシング、マネージドサービス、非付加業務のユーティリティサービスなどを導入してコスト削減を目指しています。一方で当局の規制はさらに強まり、金融機関にとってはKYCを含め人員、時間、コスト面の負担が一段と重荷になっています。
KYC関連業務のコスト増には早急に対応しなければいけませんが、金融機関がKYC業務をアウトソーシングすれば手続きや方針に関する高いコンプライアンス水準を維持できなくなるおそれがあり、各社とも慎重なスタンスを崩していません。コネクテッド・デュー・デリジェンスは、独立系のサプライヤーが開設した共通ポータルを通じて複数の金融機関の業務活動をサポートするもので、こうしたジレンマを解決する方法といえるでしょう。
Markitの委託により執筆したこのレポートでは、KYCポータルの相互利用がもたらす潜在的なメリットとして、顧客経験の向上、重複作業の軽減、業界方針標準化のサポート、KYCデータの向上などを挙げています。
「コネクテッド・デュー・デリジェンスによって業界の標準が向上し、独りよがりの標準設定から生じるリスクを軽減できるでしょう」とアジアのシニア・バイス・プレジデントでレポートを執筆したニール・カタコフは述べています。