日本株式決済T+2:証券決済革命シリーズ【日本語】
2016/11/16
Eiichiro Yanagawa
Abstract
本レポートは、2019年に予定される、日本市場における株式等の決済期間短縮への取り組みを考察し、そこでの対処策を提言します。日本証券市場における決済革命の動向を基軸に、レガシー&エコシステムマイグレーションとイノベーションとエマージングテクノロジーの可能性をレポートする証券決済革命シリーズの第2弾です。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 「証券決済革命」の意義と背景は何か? |
2 |
日本市場における株式決済「T+2」の検討状況は、今何処にあるか? |
3 | グローバル市場における株式決済「T+2」への対応状況と、日本市場への示唆は何か? |
「証券決済革命」の第1幕は2018年春の国際決済期間の短縮、そして第2幕は、2019年に予定される株式等の決済期間の短縮です。
日本市場は、2007年の証券決済DVP化、2009年の株券電子化などを通じて、証券決済システムの高度化に取り組んできましたが、現在、株式の受渡日は「T+3(約定日から起算して4営業日目の受渡)」です。本改革は、その「T+2」 への移行を目指すものです。
決済期間短縮は直接的には決済リスクの削減をもたらす効果があり、間接的には金融資産の換金性を高める市場の流動性の向上、国際的な市場間競争力の維持・強化につながるといった効果も期待されます。
「先行した欧州市場では、証券決済のインフラ統合と、証券決済における制度改定とが同時に進行し、20年ぶりに取引後処理のエコシステムとインフラ転換の見直しが進行しました。そこからの示唆を、後続する日本市場に生かすならば、ポストトレーディングのオペレーションモデルを、自社に閉じた『統合型』からより革新的な『連携型』に進化させることが重要です」と、アジア金融サービスグループのシニア・アナリストでレポートを執筆した柳川英一郎は述べています。