ビリング:損害保険会社における業務・IT上の課題IT上の課題
Abstract
損害保険業界では、ビリングはもはやバックオフィス内の問題にとどまらず、サービスにおける重要課題として認識されつつあります。2006年、北米の損害保険会社は、ビリング関連のITプロジェクトに5億米ドル(約590億円)以上を投資する構えをみせています。
セレントは最新レポート「損害保険会社におけるビリング:業務・IT上の課題」で、北米損害保険会社におけるビリングの戦略的役割とそれがITに及ぼす影響について検証しています。セレントが損保35社を対象に行った調査結果では、業務・IT部門幹部の半数近くが、ビリングを単なる財務上の課題というよりも、サービス上あるいはマーケティング上の課題として捉えています。
「保険会社は、今世紀に入って消費者、法人顧客、とりわけ販売パートナーの間で、保 険会社に対してより高レベルのサービスが期待されていることを課題として意識し始めています。実際、今回の調査に参加した回答者の半数が、すでにオンライ ン上でビリングおよび決済機能を提供しています」とセレント保険プラクティスのマネージャーで本レポートの主著者であるマシュー・ジョセフォウィッツは述べています。
損保会社にとって、自社開発のレガシーシステムが深刻な業務上の課題を生む要因となっています。セレントの調査では、レガシーシステムに対する満足度は、 特にビリングの主要機能(様々なタイプの請求書作成をサポートする機能など)に関して、ベンダーソリューションと比べて極端に低いものでした。この他に回 答者が挙げた改善の必要と思われる分野は、通知書の自動印刷、分割払いの配分、電子決済(ACH/ EFT)やクレジットカードへの対応、オンライン・ビリングなどです。
セレントの予測では、北米の損保会社が今後5年間にビリング関連プロジェクトに投入する費用は保守・管理費用を除くIT予算全体の8~10%を占め、総額では2006年の5億3,700万ドル(約632億円)から2010年には7億4,900万ドル(約882億円)に増える見通しです。こうした投資は、eビジネスなどへの新規投資だけでなく、市場のニーズに合わせた業務プラクティスの変更を可能にするシステムの柔軟性向上や、他のコアシステムや分析システムとのより効率的なデータ共有を目指したシステム統合などにも向けられるでしょう。
本レポートは全27ページから成り、調査結果をまとめた16の図やセレントによる市場予測を掲載しています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年1月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。