データ戦略の策定および実行における課題
Abstract
保険会社が利用可能なデータの性質は変化している。データエコシステムの拡大に伴い、大手保険会社は従来のトランザクションデータセット以外にも目を向けるようになっている。これらの新しいデータバリューチェーンは、従来の保険契約データと、行動/ 関係データや社会経済データを結びつけたものである。データ機能が成熟するにつれ、大手保険会社は、まったく新しいデータソース、データタイプ、データプロバイダーにまでバリューチェーンを拡張している。
包括的なLOBデータ戦略を策定して実行するのは困難である。データが保険の基盤にあれば、業務の遂行、規制当局への報告書の作成、インサイトの取得、新しいソリューションの構築に同じデータ資産を使用できる。この資産は、管理・構造化される必要があるが、同時にアクセス可能で柔軟性を有する必要もある。同じデータ資産でもそれぞれ異なったデータの視点、ニーズ、優先度、質を認識することが、データロードマップを作成する第一歩である。残念なことに、これらの戦略ドライバーは互いに競合することから、保険会社による効果的なデータバリュープログラムの提供は遅れる可能性がある。それぞれの特性を単独で評価したり、他のニーズを無視して策定すると、データ戦略の実行が上手く行かなくなる。
オリバー・ワイマンとセレントによるリサーチは、成長戦略遂行の成功を妨げる7つの重要な要因を特定した。これらの中には専門的な要因もあるが、ほとんどは企業の組織的、文化的な課題とテクノロジーに起因している。これらの要因は下図に要約される。
膨大なデータが利用可能になったことで、保険会社は、拡大する自社のデータ資産やアクセス可能なデータ資産を活用する重要な機会を得ている。しかし、多くの生命保険会社はデータへの投資が歴史的に欠如していることから、こうした変革の実現に向けた道筋に障害が発生し、行く手が阻まれることが予想される。
保険会社がビジネスデータ戦略を策定する際には、リスクを理解し、進捗を妨げる可能性がある課題に対処する必要がある。