銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望
Abstract
北米における銀行のIT投資はゆるやかながらも成長しつつあり、2012年には2.4%増となることが予想されます。この伸び率は今後も徐々に上昇し、2013年には2.9%、投資額は563億米ドルに達するでしょう。ただし米国では、不確実な要素がなお数多く残っているため、今後数年は困難な状況が続きそうです。
セレントの最新レポート「銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望」では、米国とカナダの銀行におけるIT投資のパターンを詳述し、分析、比較しました。2012年の北米の銀行のIT投資額は、2011年の534億ドルから増加して、547億ドルになると思われます。これを主導するのはカナダの銀行です。コーポレート・バンキングへの投資は引き続き堅調で、コンプライアンス、規制対応、セキュリティなどへの投資はいずれも劇的に増加すると見込まれます。とはいえ、すべてが好調なわけではありません。リテール・バンキングを見てみると、米国ではIT費用が抑えられており、新規投資は制限される一方で、メンテナンス費用がいまだにIT予算の足かせとなっています。
「銀行はシステム更新に投資して業務効率化を図っていますが、メンテナンスをめぐる問題からは解放されていません」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートの執筆者であるジェイコブ・イエーガーは述べています。
「メンテナンスに配分される予算の割合が徐々に縮小しているのは明るい材料です。とはいえ、市場にはいかんともしがたいパラドックスが存在します。トレンドはセルフサービス・チャネルの拡大や刷新の方向に向かっており、それには多大な投資が必要となりますが、資金はきわめて限られています」と彼はつけ加えます。
このレポートでは、リテール分野のIT投資とホールセール分野のIT投資、内部投資と外部投資、メンテナンス費用と新規投資について、地域別の内訳を見ながら比較しています。また2012年に見込まれる北米の銀行業界における主要ITトレンドや成長分野を概説しています。