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インターチェンジフィー: 価値基準の見直し

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2006/03/29

Abstract

インターチェンジフィーのしくみやその背後にある動機付けを見直すべき時期にきていることを示唆する徴候が見えます。

米国では、ここにきて議論を呼んでいるクレジッドカード業界の2つの制度に対する圧力が高まっています。すなわち、インターチェンジフィー(カード加盟店がカード発行会社に支払う売上交換手数料)とサーチャージ禁止法(カード加盟店がクレジットカードやデビットカードの利用手数料を顧客に負担させることを禁じる法律)が新たな課題に直面しているのです。勢いを増す訴訟の脅威やクレジットカード市場の経済状況の変化に伴って、インターチェンジフィー制度とサーチャージ禁止法の今後のあり方に疑問を投げかける声が上がっています。

セレントは最新レポートインターチェンジフィー:価値基準の見直しで、現在市場で起こっている様々な議論と市場トレンドに関わるその重要性について考察しています。また、市場の不健全性を示す兆候や市場介入のきっかけとなり得るトレンドにも注目し、考えられる解決策が加盟店や顧客に及ぼす影響についても分析しています。

これらの制度に対する賛成・反対の両派が、加盟店に課された拘束や価格協定の方法について、あるいは規制が社会的に最適なものなのかと言う疑問などを巡って、激しい主張を展開してきました。「これまでインターチェンジフィーの制度が温存されてきた理由は、この方法が市場にとって有害であること、これに勝る他の価格設定方法が存在すること、これを規制することが社会にとってより有益であることを証明できなかった点にあります。しかし、市場の成熟化が進み、インターチェンジを支えてきた従来の理論は根拠を失いつつあるのです」と、セレントのシニアアナリストでレポート執筆者のアリアナ・ミシェル・ムーアは述べています。

カード発行会社は、このところ相次ぐ訴訟に悩まされてきました。この9ヵ月間にカード加盟店による40以上の訴訟によって、サーチャージ禁止法またはインターチェンジフィー制度に対する異議が提起されました。訴訟の増加を受けて、一部の発行会社はスタンスを変え始めています。例えば、Discover社は、最近になってサーチャージ禁止法を打ち切る方針を明らかにしました。こうした法廷闘争が続けば、最終的に発行会社側はインターチェンジ手数料の引き下げを迫られるでしょう。

ただし、インターチェンジフィーの引き下げは、必ずしも顧客にとって望ましい効果をもたらすとは限りません。オーストラリアにおける最近の制度改正は、インターチェンジ手数料が引き下げられた結果、発行会社が年会費の引き上げやカード特典の縮小に踏み切る可能性があることを示しています。また、加盟店がインターチェンジの引き下げにどう対応するかも不透明です。望ましいのは、加盟店が価格引下げという形で顧客に利益を還元することですが、加盟店はそれほど寛大ではないだろうという懐疑の声もあります。

1つ明確なのは、カード業界は多数の当事者が関与する複雑なシステムであり、インターチェンジを巡る論争が容易に解決することはないという点です。ただ、業界はいずれ、次のような利点を備えたフィーベースのシステムの導入が必要になるでしょう。 ①発行会社の収益モデルを維持する、②リボルビング・ローンの消費者層をデビットカードシステムにシフトさせる、③加盟店が直面する利ざやの縮小圧力を緩和する、④クレジットカードまたはデビットカードのいずれを選択するかの決定を顧客主導にする。

本レポートは18図と4表を含む全39ページで構成されています。