中国のデリバティブ市場:規制緩和がビジネスチャンスに
2012/03/13
フア・ジャン
Abstract
中国のデリバティブ市場は、新商品の投入に加えて国内金融機関による海外市場への進出を背景に急速に変わりつつあり、市場参加者、商品、規制に影響を及ぼしています。
セレントの最新レポート「中国のデリバティブ市場:規制緩和がビジネスチャンスに」は、同国における規制、取引所取引および店頭デリバティブ市場、市場参加者などの最新動向やクロスボーダー取引の拡大について取り上げています。最近の規制当局の動きはデリバティブ市場にとって追い風となっています。取引システムも進化しており、China Financial Exchangeは1秒当たり7,000~8,000件の注文を処理できるほか、コロケーションサービスも提供しています。
規制当局が証券会社の業務範囲拡大を認めたことを受け、証券会社は海外での委託売買やコンサルティング業務を行えるようになりました。大手証券会社がM&Aを通じて先物ブローカーに出資する動きが広がり、市場の構造にも変化が生じています。近い将来にはヘッジファンドも認められる見通しであり、国内ヘッジファンドの運用資産は2015年には現在の5倍に拡大するとされます。また大手証券会社は、香港で自己売買専門業者、資産運用会社、支店の開設が認められています。この結果、大手の自己売買専門業者はクロスボーダー取引やヘッジファンド戦略を導入しやすくなりました。
「規制当局が中国企業による海外デリバティブ取引を奨励していることで、中国企業と証券会社は海外市場での取引が可能になりました。一方で、資本移動の制限など、海外取引を行う上での障害もまだ残っています」と、セレントのアジアフィナンシャル・サービス・グループのアナリストでレポートを執筆したフア・ジャンは述べています。