ビデオバンキング:支店に代わる顧客獲得チャネル
Abstract
テレプレゼンス(リアルタイムビデオ)はリテールバンキングにとって将来有望なテクノロジーですが、これをいち早く導入した銀行はチャンスをものにできていないのが現状です。銀行は、窓口サービスに再投資するのではなく、オムニチャネルとしてのビデオバンキングを通じて顧客の取り込みを図ることを目指すべきでしょう。
セレントの最新レポート「ビデオバンキング:支店に代わる顧客獲得チャネル」は、リテールバンキングにおけるテレプレゼンスの最新の利用状況を単刀直入に分析し、顧客を引き付ける工夫をこらしつつサービスコストを抑える実例を紹介しています。レポートは金融機関とソリューションプロバイダーに対する取材や2013年6月に米国の消費者1033人を対象に行った調査の結果をもとにしています。
かつてリアルタイムビデオ(テレプレゼンス)は、高額機器や高帯域幅データへの接続が必要な最先端テクノロジーでした。しかし今では、若い世代も中高年も、デスクトップ、タブレット端末、モバイル機器などを使ってビデオチャットを普通に行う時代になっています。こうした利用拡大は、銀行に課題とビジネスチャンスの両方をもたらしています。
「銀行がビデオバンキングの導入を検討する理由はいくつかあります。そのうち最も切実なのはコスト削減ではなく、顧客の取り込みといえるでしょう。銀行はこれまで顧客獲得の場として支店にほぼ全面的に依存してきており、デジタルチャネルの利用は低コストの取引に限定されていました。しかし、そうしたビジネスモデルはもはや通用しなくなっています」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・メーラは述べています。
レポートではまず消費者行動とテクノロジーのトレンドを分析し、なぜビデオバンキングの導入が有効なのかを示した上で、なぜ今導入すべきなのかを説明しています。次に、ビデオバンキングをいち早く導入した銀行やクレジットユニオンにおける利用状況、支店転換プロジェクトの一環として導入した事例をケーススタディとして紹介しています。最後に、オムニチャネルとしてのビデオバンキングとその他のデジタル手法を如何に組み合わせるかを解説しています。オムニチャネルとしてのビデオバンキングは、パーソナル窓口機(PTM:Personal Teller Machine)に広く使われている単なるビデオ機能とは全く異なるものです。