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T2S導入後の欧州における取引後処理エコシステム

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2013/03/06

Dealing with Complexity

Abstract


欧州中央銀行によるTARGET2(T2S:即時グロス決済システム)の導入や欧州委員会が提案した証券決済機関(CSD)制度の施行は、欧州における取引後処理システムに大きな変化をもたらすとみられます。こうした変化を受け、市場参加者は取引後処理や既存のバックオフィスシステムの機能を見直す必要に迫られるでしょう。

金融機関(カストディアン、エージェントバンク、ブローカーディーラー)がT2Sを利用するにあたっては、様々な選択肢が存在します。しかし、T2Sへの参加を表明している23の証券決済機関(CSD)は、特にその規模が小さいほど、厳しい状況に直面することになるでしょう。セレントの最新レポート「T2S導入後の欧州における取引後処理エコシステム」は、その詳細を説明しています。T2SとCSDRがともに導入されれば、CDSの収益源(決済、資産サービス、発行者関連)の多くは脅威にさらされかねず、一方で既存のバックオフィスシステムを新たな環境に適応させるため多額の投資を迫られる可能性もあります。

T2Sを導入する際の主な問題点の1つは、欧州では取引後処理のエコシステムが細分化されており、様々な市場プラクティスやメッセージ・フォーマットが混在していることです。金融機関がT2Sの恩恵を享受しつつ、それらを自らの組織の長期戦略に適合させるためには、効率的で費用効果の高い導入プログラムを策定する必要があります。T2S導入に必要な予算の額は金融機関が選択するアプローチによって異なり、最低でも700万ユーロ、最も野心的なアプローチをとる場合は3,000万ユーロ近くが必要になるでしょう。

「T2S導入に向けた準備の進捗度は、市場参加者によって大きな差が出ています。業界別にみると、取引後処理のプロバイダーの中でもカストディアンとCSDは、予想に違わず最も準備体制が整っているといえます」と、セレント証券プラクティスのシニアバイスプレジデントでレポートを執筆したアクセル・ピエロンは述べています。

「T2SとCSDRがともに導入されれば、CSDは非常に厳しい状況に直面するでしょう。将来の事業環境に対応するための投資を迫られるはか、決済業務をT2Sプラットフォームにアウトソースせざるを得なくなります。同時に、CSDRの設立に伴う競争の激化によって、その他の収益源も脅かされるでしょう」とピエロンはコメントしています。

欧州の取引後処理市場が抱えている課題に対する理解を深めるため、セレントはSWIFTの支援を受けて調査を行い、その結果をレポートにまとめました。

本レポートは34p、10図と3表で構成されています。