欧州債券市場における電子取引の現状
Abstract
セレントの最新レポート「欧州債券市場における電子取引の現状」は、欧州市場におけるソブリン債・その他債券のディーラー間および対顧客取引の現状を詳しく調査し、その中で電子取引の大手プラットフォームベンダーがどのような役割を果たしているかを検証しています。同レポートで取り上げた主なプレイヤーはMTS、eSpeed、BrokerTec、TradeWeb、BondVisionなどです。
セレントのアナリストで上記レポートの著者であるアクセル・ピエロンは、欧州の債券市場には2つの顕著な特徴が見られると指摘しています。「第1に、取引の大半がソブリン債に集中していることです。ソブリン債の1日平均取引高が830億ユーロ(約11兆4,000億円)を超えているのに対して、それ以外の債券の取引高は308億ユーロ(約4兆2,200億円)に留まっています。第2の特徴は、市場取引の大部分をディーラー間取引が占めていることで、ソブリン債市場では全体の65%以上、その他の債券でも70%以上に上っています。」
市場参加者の間では、電子取引や欧州債券市場全体の規模拡大を望む声は強いものの、各国市場間での統一が図られていないために取引の自動化はなかなか進んでいません。さらに、市場参加者の多くが銀行であるのに加え、欧州全域をカバーする証券会社および決済機関が存在しないことも大きな障害となっています。「各国の市場取引に参加するためには現地にそれぞれ子会社を設立しなければなりません。ユーロクリアやクリアストリームは欧州市場全体の決済・受渡しを担う決済機関として設立されましたが、各国の規制の違いに阻まれ、欧州全域では容易に業務を展開できないのが実情です。これが欧州債券市場の細分化を助長する要因となり、結果的に15の個別市場の寄せ集めに過ぎないという現状を招いています」と、ピエロンは述べています。
レポートでは、電子取引の主要プラットフォームについて、市場シェア、取引業務、テクノロジーなどを基に総合的に評価しています。
本レポートは30のグラフと9つの表を含む全46ページから構成されています。
注)ユーロから日本円への換算レートは、2004年9月30日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照