銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望
Abstract
北米の銀行によるIT投資は堅調な増加傾向にあり、2015年も前年比4.5%増となる見通しです。2016年には伸び率がやや減速して4.2%となり、投資額は計648億ドルに達すると予想されます。
本レポートは米国とカナダの銀行によるIT投資の動向を調査、分析、比較しています。北米の銀行によるIT投資額は、2014年の595億ドルから2015年には622億ドルに増加するとみられ、特に今年は、リテールバンキングの分野でさらに投資拡大が見込まれます。セルフサービス関連プロジェクト、デジタルバンキング関連プロジェクト/整備、支店変革プロジェクト、オムニチャネルの取り組みなどの推進・維持にはなお多額の資金が必要とされているからです。
各行とも既存のスマートフォン/タブレット用アプリの拡充を目指しており、モバイルバンキングには引き続き高い関心が寄せられるでしょう。アナリティクス、オムニチャネル・バンキング、コンプライアンス/規制、ITセキュリティーなどへの投資も優先順位が高くなるとみられます。また、コーポレート・バンキングの分野では、コンポーネンツやモジュール関連の新規プロジェクトが続くでしょう。中規模の銀行は、ここ数年多額の投資を続けている大手銀行に今後も対抗していく構えを見せています。銀行にとって中小企業は独特で魅力ある市場セグメントでありながら、いまだその攻略方法が定まっていないのが実情であるため、この分野に対する関心もさらに高まるものとみられます。
「2015年も投資拡大が続くことを示す調査結果が出ており、昨年以上の伸びが見込まれています。銀行は既存システムの保守・管理に加え、さらなる改善やイノベーションにも取り組んでおり、システム投資が引き続き不可欠な要件となることは間違いないでしょう」とセレント銀行グループのリサーチディレクターでレポートを執筆したジェイコブ・イエーガー は述べています。
レポートでは、北米におけるIT投資の内訳を①リテール分野とホールセール分野②社内向けと対外投資③保守・管理と新規投資―のカテゴリー別に明らかにしています。また、2015年の北米における銀行向けテクノロジーの主要トレンドと成長が見込まれる分野についても取り上げています。
本レポートは22p、13図と1表で構成されています。