新リスク環境に備えるフロントオフィス:プライオリティはどこに?
A Survey of Strategic and Operational Priorities
Abstract
セレントはSAPの委託を受け、金融機関が今後欧米で取引、リスクおよび規制を管理していくにあたっての市場および企業レベルの課題、組織としての対応、ベストプラクティスについて調査しました。
セレントの最新レポート「新リスク環境に備えるフロントオフィス:プライオリティはどこに?」は株式、債券、クレジットおよび金利関連業務の経済性の変化を調査し、将来起こり得る市場構造の変化や新たな規制、ディスラプティブ・テクノロジーに対応するためにはどのような取引・リスク管理能力が求められるかを検証しました。
ここ数年、規制強化やデリバティブ市場の構造改革、それらが銀行の財務資源に及ぼす影響について突っ込んだ議論や業界内の論争が繰り広げられてきました。業界は現在極めて重要な局面を迎えており、将来の規制動向が見えにくいなかでも、議論から実行へとシフトすべき時にきています。グローバルに展開する金融機関がドッド・フランク法、EMIRのデリバティブ改革、バーゼルⅢなどの規制に準拠しようとすれば、それぞれについて1金融機関につき1.5億~3.5憶ドル(約119.5億円~278.8億円)のコストが必要になるとみられます。これは、金融危機前の過去10年間に実施された規制変更に伴う「大型」のコンプライアンスプロジェクト(SOX法、マネーロンダリング防止法、国際会計基準、MiFIDⅠ、バーゼルⅡなど)のいずれをも上回る金額です。
「現時点で、経営幹部および規制当局が求める画期的な成果を上げるためには、業務とテクノロジーの両面で多面的な変革が求められるでしょう。これまで多くの金融機関が行ってきたような漸進的な変革やその場しのぎの解決策では通用しなくなっています。金融機関が積極的に関与するコンプライアンス主導のプロジェクトは期限や報告義務が厳しく、変革チームは、規制をきっかけに立ち上がったプロジェクトであっても、それを主導するのはイノベーションや価値であるという点を念頭に置くことがより重要になります」と、セレントの証券、ファイナンス&リスクグループのリサーチディレクターであるキュビラス・ディンは述べています。
本レポートは、セレントが電子取引、リスク管理およびテクノロジーに関して行った最新調査をもとにしています。同調査は、世界の主要金融機関の経営幹部がキャピタルマーケットビジネスの将来をどのように描いているのか、組織として目標達成に向けてどのような戦略を策定しているのかを把握するために行われました。
本レポートは27p、11図と1表で構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2012年10月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。