英国における年金制度改革
Abstract
英国の新年金制度に準拠しなければならない年金業者には、長い道のりが待ち受けています。まず、新制度が施行される「A-day」が近づく中、業者はどのような変更を実施すべきか把握する必要に迫られています。
英国の年金制度改革は、2006年4月6日(いわゆる「A-day」)、簡潔な新年金税制が施行されることによって、大きく一歩前進するでしょう。セレントは最新レポート「英国における年金制度改革」で、A-dayに至るまでの過程をたどり、今回の年金制度改革がもたらす様々なシステム変更について検証しました。
欧州各国における年金制度の差し迫った危機的状況をめぐって、検討が重ねられてきましたが、英国もその例外ではありません。英国に、2002年に年金制度改革に向けて課題に満ちた道を歩み始めました。A-dayまで2ヵ月弱となった今、同国は、企業に将来の変化に向けた準備を促す新たな過大に取り組もうとしています。「A-dayに備えた保険会社の対応の仕方を見直すことは、将来の変化に対して何が最善の対策になり得るかを探る上で格好の機会と言えるでしょう」と、セレントのシニアアナリストでレポートの執筆者であるキャサリン・シュミットは語っています。
目前に迫った英国の年金制度改革に伴い、年金業者は広範なシステム変更を迫られるでしょう。その変更の中心となるのは、保険契約管理システムや保険金請求 システムといったコア・システムです。こうしたシステムにはレガシー・システムが多いこと、柔軟性を欠くアーキテクチャ、各部門が複数のシステムを利用し ていることなどから、変更作業は一段と複雑になるでしょう。「年金業者は、A-dayに必要な変更を進める中で、それが今後予想される長く多難な道のりの始まりにすぎないことを確信させられることもあるでしょう」とシュミットは述べています。
英国の年金制度のキーファクト
数値 | 項目 |
2:1 | 2050年時点の現役就労者と年金受給者の比率 (現在は4:1) |
56% | 2050年までの年金受給者の増加率 |
60% | 貯蓄不足と推定される人の比率 |
650億ポンド (約13兆円) |
FT100種指数を構成する企業の年金給付積み立て不足額(2005年現在) |
出所: 英国年金基金協会 |
セレントはこのレポートで、新年金制度への対応策として、最低限のコンプライアンス要件を満たすだけでなく、ビジネス上の主要課題を解決するような戦略的アプローチを提案しています。コンプライアンス上の課題とビジネス上の課題を主要なIT分野に位置づけることで、リスクを低減しコンポーネンツの再利用が可能な戦略的プロジェクトを実践できるのです。「ダイナミックな手法と高い柔軟性を備えた保険会社が、2010年の制度改革にも対応していける会社です」とシュミットはコメントしています。
本レポートは2表と2図を含む全18ページで構成されています。
注)英ポンドから日本円への換算レートは、2005年12月30日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。