2023/10/10
ユースケースとケーススタディ
Abstract
量子コンピューティング (QC) は、従来のコンピューターが現実的な時間内に解決できなかった特定の問題を迅速に解決できると考えられている。このテクノロジーには従来とは異なるコンピューティング方法が採用されており、気候変動、リスク管理、創薬、ポートフォリオ最適化、サイバーセキュリティなど様々なソリューションのイメージを劇的に変える可能性がある。金融機関は早い時期からこのテクノロジーの実験・導入に踏み切っている。また、クラウドベースのサービスの増加を含む最近のテクノロジーの飛躍的進歩や官民による投資の増加は、QCが主流になるまでの時間が想定よりも短くなることを示唆している。量子関係者は「量子至上主義」の時代は過ぎたのではないかと考えているが、QCの活用が進んでいる業界 (金融を含む) では、商業的優位性の確保に向けたQCの開発へと焦点が移っている。これは、QCが従来のソリューションよりも迅速、安価かつ効率的に重要な問題を解決できることを意味しており、その可能性が最も高いのが従来のコンピューティングと量子コンピューティングの両方を利用したハイブリッドアプローチであると言える。
この分野への投資は増えていると言えるだろう。金融情報サービス会社PitchBookのデータによると、QCへのベンチャーキャピタル (VC) 投資の80%は過去3年間に行われている。VC投資はパンデミック期間も減速することなく増加して2022年には過去最高を記録し、その規模はこれまでのVC投資総額の3分の1に相当する。