債券電子取引の将来像:規制強化と収益減少が促進するイノベーション
Abstract
債券のディーリング業務を取り巻く事業環境は進化しつつあります。背景には市場構造の変化や新規制に加え、ディスラプティブ・テクノロジーが市場に普及し、今後も投入が見込まれることがあります。規制強化により引き続き収益が圧迫されることから、金融機関は取引モデル、価格発見、取引システムといった分野におけるイノベーションのための投資を行っています。
セレントの最新レポート「債券電子取引の将来像:規制強化と収益減少が促進するイノベーション」は、債券取引の価値連鎖にみられるトレンドと動きを分析し、規制強化と収益圧迫が市場構造のイノベーションを促していると述べています。
債券取引の価値連鎖は、現在他のどの資産クラスよりも飛躍的に進化しつつあります。外国為替や株式の分野では、既に数年または数十年前に電子プラットフォームや取引フローに対応するシステムへの大幅な変革が進みましたが、債券はようやくその流れに追いつこうとしているのです。
こうした進化は、減益傾向やテクノロジーの活用による効率化の追求を背景とし業界主導による部分もありますが、政府による規制強化の動きが重なったことでビジネスモデルに歪みが生じる、資本の最適化を迫られる、特定の清算モデルが義務付けられるなど、外的要因によるところが大きいといえます。主な規制強化の動きとして、バーゼルⅢ、ボルカー・ルール、EMIR、ドッド・フランク法、欧州のMiFID2などが挙げられます。
「こうした規制強化の動きは最終的にディーラーモデルに大きな影響を及ぼし、収益の逼迫と流通市場の流動性低下につながるでしょう」、セレント証券グループのシニアアナリストでレポートの共同執筆者であるジョセフィン・ドゥ・シャズルネは述べています。
「流動性やディーラーモデルへの影響を踏まえ、金融機関の多くはビジネスデザインのイノベーションを目指して投資を行っています。取引モデル、価格発見、取引システムなどの分野でイノベーションが起こりつつあります」と、シニアアナリストでレポート共同執筆者のデビッド・イーストホープは付け加えています。
レポートでは、債券市場の進化、価値連鎖の進展、流動性と取引の動向を分析しています。また、債券取引モデル、価格発見、取引システムに関するイノベーティブなビジネスデザインとは何か、さらに、欧米における今後の市場シナリオを商品クラスごとに予測しています。
本レポートは36p、5図で構成されています。