世界の保険業界のIT投資動向
Abstract
世界の保険会社のIT投資額は2012年に1,406億ドル(約11.3兆円)に達し、2011年比で6.3%増加するとみられます。2011年の投資額が前年比1.1%減だったのに比べ、大幅な伸びとなる見通しです。セレントは、世界の保険会社によるIT製品およびサービスへの投資額は2012年から14年にかけて年率5.8%のペースで増え、14年には1,575億ドル(約12.7兆円)に達すると予測しています。
セレントの最新レポート「世界の保険業界のIT投資動向」は、世界の様々な地域(北米、欧州、アジア太平洋、中南米、その他の地域)のIT投資動向を分析しています。レポートでは、各地域におけるIT投資の方向性を比較しています。
世界の保険会社のIT投資額のうち75%を欧州と北米の保険会社が占めています。アジア太平洋地域が19%、中南米が3%でこれに続き、その他の地域が残りの3%を占めています。
「IT投資は全体として上向いています。中南米における投資の急拡大が、欧州での伸び悩みを目立たなくしています。2012年は各地域の経済がどのような展開をみせるか全く不透明な状況であり、13年も投資の伸びが続くとは限らないでしょう」と、セレントのシニアバイスプレジデントでレポート執筆者の1人であるキャサリン・スタッグ・マーシーは述べています。
世界の各地域のうち保険会社によるIT投資の伸びが最大になるとみられるのは中南米で、2012年の伸び率は22%と予想されます。この地域では投資の拡大が続き、14年の投資総額は62億ドル(約5千億円)に達する見通しです。北米では14年にかけて投資の伸びが加速するとみられるのに対し、欧州は伸び悩むでしょう。北米では12年から14年にかけてIT投資が年率7.6%のペースで拡大し、14年には586億ドル(約4.7兆円)に達するとみられます。欧州では、同期間のIT投資の伸び率は2.2%にとどまり、14年の投資額は564億ドル(約4.6兆円)と予想されます。 アジア太平洋地域もやや小幅な伸び(年率6.1%)となる見通しで、14年の投資額は296億ドル(約2.4兆円)と予測します。