OTCデリバティブ取引のリスク管理: 最大リスクの抑制に向けた枠組み作り
Abstract
セレントは、OTCデリバティブ取引のリスク管理に関するベストプラクティスを提示し、金融機関が現在進めている業務インフラ改善の取り組みをさらに発展させるよう促しています。
ここ数年、金融商品の急速な革新、デリバティブ取引を使ったストラクチャー商品などのカスタマイズ商品に対する投資家ニーズの拡大、さらには積極的なポー トフォリオ・リスク管理方法(リスク転換、証券化など)の発達などを背景に、学問の一分科としての金融エンジニアリングの規模、用途および認知度が拡大し つつあります。金融エンジニアリングはOTCデリバティブ取引を通じて資本市場における革新的なリスク管理手法を提供していますが、その影響はもろ刃の剣 といえるでしょう。デリバティブ取引は金融リスクを管理するツールであると同時に、取引そのものが金融機関にリスクをもたらすからです。
ここにきて金融業界は難局に直面しており、バイサイドとセルサイドの双方にとってリスク管理の枠組み強化が緊急課題となっていることは間違いありません。 そのための取り組みは進んでいるものの、金融機関にとっては業務インフラに関連したリスクだけでなくそれ以外のリスク要因・特性にも対応する管理の枠組み 作りが不可欠となっています。セレントの最新レポート「OTCデリバティブ取引のリスク管理:最大リスクの抑制に向けた枠組み作り」は、金融機関がこの最大リスクを管理するためにOTC取引ソリューションの導入と並行して構築すべき枠組みのベストプラクティスを紹介しています。
2007年の信用危機からの教訓があるとすれば、金融機関はOTCデリバティブなど投機性が高い新規開拓分野に十分注意する必要があるという点でしょう (OTCデリバティブの場合、商品が極めて革新的で複雑であるのに対し業務管理は明確化されていません)。それ以外については、コンセンサスの形成はほと んど成されていません。サブプライムローン問題の発生以来、金融機関の中でも比較的小さな部門が不相応の巨額損失を出すケースが多くみられました。
「これまで全社規模または業界全体で進められてきた取 り組みは、取引フローの処理、照合、決済などの分野で業務インフラの欠陥部分を補うことに重点が置かれてきました。デリバティブ商品をめぐるリスクを解消 することはできませんが、金融機関が意図しないリスクを軽減・抑制する機能を構築することは可能です。OTCデリバティブに特有な重要ポイントとしてデー タ管理、モデル管理、バリュエーションと価格設定、担保管理、報告、取引枠の管理、資金決済、ポートフォリオの照合などが挙げられます」とセレントのシニ アアナリストで今回のレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。
本レポートでは、OTCデリバティブ取引のリスク管理ソリューションを選別および導入する際に考慮すべき事項やガイドラインも示しています。
本レポートは15図と5表を含む全70ページで構成されています。