リスクと規制の迷路からの脱出:2020年以降のビジョンを道しるべに
Abstract
リスク管理とリスク関連の法令順守をサポートするシステムへの投資額は、2019年には720億ドルに達すると予想されます。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 今後数年以内に施行される規制のうち、リスク関連システムの戦略と投資に最大の影響を及ぼすのはどの規制か? |
2 |
金融機関が戦略的な対応を迫られる業務・IT分野は? |
3 | リスク関連システムの優先順位とIT投資のパターンはどのように変わるか? |
規制改正の動きが金融業界に「ロングテール」効果をもたらす状況が続いており、業界全体の資本、営業費用、リソースおよび競争力学に影響を及ぼしています。本レポートはリスク、資本およびガバナンスに焦点を当てた規制の内容が金融業界の課題を決定づけ、今後10年間のリスク関連のテクノロジー戦略や投資の意思決定にどのような二次的影響を及ぼしているか明らかにしています。
リスク管理とリスク関連の法令順守をサポートするテクノロジーへの投資は世界全体で2019年までに年平均10.1%のペースで拡大し、720億ドルに達すると予想されます。北米、欧州およびアジア地域の銀行、保険会社、証券会社、投資運用会社によるIT投資が全体に占める割合はかなり高くなるとみられます。
今後は財務以外のリスクに関連した投資額の増加ペースが加速し、投資全体の29%を占めるとみられますが、財務リスク関連の投資額はなお71%と高い比率を維持するでしょう。2015~19年にかけては財務リスク関連の投資が2.6%減少するのに対し、それ以外のリスクに関する投資は12.7%増と急拡大するとみられます。ただ、前者が引き続き投資全体の3分の1を占めるでしょう。
「業界の牽引役や規制動向をめぐる変化は、中長期的には銀行および資本市場に参加する金融機関のリスク管理における優先順位を決定づける動きになります。テクノロジー戦略および投資の意思決定は、2020年までとそれ以降の金融機関の展望を左右するでしょう」とセレント証券プラクティスのリサーチ・ディレクターでレポートを執筆したキュビラス・ディン は述べています。
本レポートは14の図表を含む全30ページから構成されています。